買われ過ぎの水準で出現の「陰のトンカチ」に近いチャート形状は何を示すのか?

著者:平野朋之
投稿:2016/11/17 11:29

■調整局面には注意が必要


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■昨日は、予想を下回る米経済指標や長期金利が一服したこともあり、これまでのドル買いにおける利食い売り優勢の展開となりました。
また、110円の大台やトランプ新大統領会談を控えてポジション調整が目立ちました。


■さて、これまでトランプ相場として短期間にこれまで上昇してきたのは、新政権に対する期待感である事は言うまでもありません。
しかし、根本的にトランプ新大統領の狙いはドル安がメインになっていることを忘れてはいけないと思っています。
ここ数日間で8%強のドル高は、彼の眼にどのように映っているのか?
ドル高に対する許容度は限界にきているようにも感じます。


■更に、FRBが年内追加利上げを行えば、ドル買いのスピードは強まるばかりです。その意味でもイエレン議長の議会証言には大変興味深いものがあります。
ここ最近の急激なドル高や高圧経済、そしてドル高による新興国経済への影響といった面を踏まえると、来年度の利上げスピードもかなり遅くせざるを得ないとみています。

そして、ドル高の裏の牽引役としているのがユーロです。
対ドルでは年初来の安値水準に落ち込んでいます。

やはり、英国、米国共にいえることは国民投票による政治リスクが目立ちます。メディアの予想と全くの真逆の展開で、不透明どころか資本主義社会が一体何なのか‥を考えさせられる選挙であったようにも思えてしまいます。

また、来月4日にはイタリアで国民投票があるだけに、ユーロリスクも視野に入れてトレンド戦略を構築する必要があると考えています。
いつまでもトランプ新大統領誕生による「ご祝儀相場」は一旦小休止となる可能性があり、本日の日米会談やFRB議長証言がきっかけに大きな調整期に入る可能性があるとみています。


■最後に本日のドル円ポイントです。

日足ベースでは、「陰のトンカチ(チャートによっては十字)」気味になっています。

また、短期的にも過熱感が出ているので売られやすくなっています。
その意味では、本日はイベントを控える意味合いを含め、「押目」を待つスタンスになります。

以下は、押目待ちポイントになります。

大統領選以後の高安に対するフィボナッチ
23.6%…107.72円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想