押し目を探る展開も、ドル高を嫌うトランプ政権のけん制発言には注意  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2016/11/14 11:47

■107円ミドルを達成したことで、買われ過ぎからの是正も


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■先週末は、引き続き株高やトランプ政権に対する期待感から、リスク選好となり106円後半をキープし、米経済指標も好調だったこともドルを押し上げる要因になっています。

先週を振り返ると、大統領選に対するサプライズや相場のボラティリティ、市場参加者の考え方の切り替わりには、正直驚かされました。
事前予想では、トランプ大統領になると悲観的な見方が大勢を占めていました。しかし、相場は真逆の展開になり、何か「新アメリカンドリーム」を彷彿させるような、強気の展開に切り替わりました。

しかし、次期大統領は決まったものの、就任までまだ時間があり、期待先行の強さは行き過ぎているようにも感じます。


■また、米長期金利の上昇をはじめ、インフレ懸念まで市場は先行しはじめています・・・。
インフレといえば安全資産の代名詞でもある「ゴールド」が買われるのが通常のセオリーです。
しかし、大統領選の高値から120ドルも下落し、更に節目の1200ドルも視野に入るほどの下落ぶりです。ゴールドの動きを見る限り、リスク選考のドル買いでゴールドが売られるという解釈ができます。

しかし、市場では米長期金利まで上昇しているのが気がかりです。

大胆なインフラ政策を中心に景気刺激策から、財政悪化が見込まれているからこそ、長期金利が上昇するというのもわかります。つまり、債券相場が下落し、通常であればヘッジとしてゴールドが買われるのが普通の考え方なのですが、この債券相場やゴールド、そしてドルの動きが矛盾していることから、今後の相場展開を読むのが正直難しいという印象です。


■やはり、短期と中期のトレード及び、ポジションの取り方を再構築する必要があるとみています。
短期的には、株価をはじめ政策期待からリスク選考で「押し目買い」が優勢とみています。

ただ、ドル高が行き過ぎれば、米国内の輸出産業の業績悪化懸念もあります。

その意味では、ドル高を極度に嫌うトランプ政権からすれば、いつ何時けん制発言が出るかわからないので、このまま、ドル高トレンドが継続し続けることは難しいとみています。


では、ドル円はどの程度まで短期的に高値があるかをお伝えしたいと思います。

ドル円の週間足ベースをつかい、昨年6月の高値125円台と今年の6月の安値99円台に対するフィボナッチで見ると・・・、戻りとして

・23.6%…105.41円→達成
・38.2%…109.31円
・50.0%…112.46円

となると現実的なラインからすれば、38.2%の109円台というラインが目先の戻り高値になりそうです。
110円という大きな節目は、現段階ではお預けという見方をしています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想