法改正の思惑で注目される水道関連銘柄

著者:冨田康夫
投稿:2016/10/27 19:02

2017年にも水道法を改正へ

 水道関連銘柄への関心が高まっている。きっかけは、10月23日付の日本経済新聞が、「政府は地方自治体が手掛ける水道事業への企業の参入を促すため、2017年にも水道法を改正する」と報じたこと。改正により企業の参入障壁が下がれば、これに伴い恩恵を受ける企業も出てくるとみられ、今から注目されている。

 既に水道事業への企業の参入については、11年に自治体が土地や建物の所有権を持ちながら、企業に運営を任せる運営権売却を認めているが、災害発生時の費用負担などを懸念して、現在の参入実績は、浄水場など一部業務の受託にとどまっていた。

 しかし、記事によると、「災害時の復旧を自治体との共同責任にして企業の負担を軽減するほか、料金の改定も認可制から届け出制に改めて柔軟に変更しやすくする」とあり、参入障壁は大きく下がることになる。既に海外では、欧州を中心に水道の民間委託は進んでいることから、法改正をきっかけに、日本でも企業の参入が増えそうだ。

水道機工、日鋳鉄管などに注目

 新聞報道を受けて老朽施設の更新需要などが増えるとの思惑から、上水道施設向け浄水処理設備が主力で、官公需が約9割を占める水道機工<6403>や、水道管を手掛ける日本鋳鉄管<5612>、上下水道用機械大手の前沢工業<6489>などが買われたが、そのほかにも上下水処理設備大手のメタウォーター<9551>、上下水道、水質保全などの建設コンサルタントであるオリジナル設計<4642>、同じく上下水道のコンサルタントを手掛けるNJS<2325>などが注目されている。

 また、13年に英水道事業会社を買収し、大阪ガス<9532>と共同で運営する住友商事<8053>なども関連銘柄として挙げられる。今後、法改正に向けた議論が進めば、再度こうした銘柄に脚光が集まることになりそうだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想