JR九州上場に関心集中、全般相場は買い手控え

著者:冨田康夫
投稿:2016/10/24 18:59

明日の東京株式市場見通し

 25日の東京株式市場は、東証1部市場に新規上場するJR九州<9142>の株価推移を見極めながらの神経質な推移が予想される。JR九州は公開価格2600円と既上場のJR各社や、主要私鉄各社に比べてPERなどの指標面でやや割安なことから、堅調な価格形成が予想される。

 市場関係者からは「きょうの東証1部の売買代金が、1兆5658億円と5月30日の1兆5604億円に次ぐ今年2番目の極端な低水準の薄商いのなか、JR九州へ買い需要が集中した場合、他の銘柄への買いが減少し、全般相場は買い手控えとなる可能性がありそうだ」との見方が出ている。

 24日の東京株式市場は、手掛かり材料に乏しく方向感に欠ける展開となったものの、後場は売り物が一段と細り日経平均株価はやや上げ幅を広げる展開となった。日経平均株価終値は、前週末比49円83銭高の1万7234円42銭と反発した。

24日の動意株

 大成建設<1801>=後場一段高。
同社はきょう午後2時に、17年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績予想修正を発表。営業利益は従来計画の350億円を大きく上回り、525億円(前年同期比18.4%増)になったようだと発表した。売上高は6900億円から6460億円(同11.1%減)に減額修正したが、建設事業の利益率好転や国内子会社の業績が総じて堅調に推移していることが利益を押し上げるという。なお、通期業績予想は第2四半期決算発表時(11月11日予定)に改めて公表するとしている。

 日本鋳鉄管<5612>=大幅高。
JFE系の鋳鉄管メーカーで水道用が主力。17年3月期は増収も利益は横ばい圏が予想されているが、PBR0.5倍前後と解散価値の半値水準に放置される時価はバリュー株としての側面を持つ。電線共同溝も手掛けていることから、小池東京都知事が積極的に取り組む姿勢をみせる無電柱化の関連有力株として投機資金の食指を動かしている。9月下旬に13週・26週移動平均線のゴールデンクロスを示現、そこからの上げ足に弾みがついている。

 テクノスジャパン<3666>=後場に入り一段高。
同社は正午ごろ、17年3月期の連結業績予想について、売上高を55億3200万円から59億円(前期比26.1%増)へ、営業利益を6億8500万円から7億1000万円(同22.4%増)へ、純利益を4億3300万円から4億6000万円(同16.8%増)へ上方修正したことが好感されている。 上期にERPパッケージ導入支援業務の大型案件が前倒しとなったことに加えて、下期も当初計画通りに推移する見込みであることが要因としている。

 エムケー精工<5906>=ストップ高。
同社は21日の取引終了後、17年3月期の第2四半期累計(3月21日~9月20日)連結業績予想の修正を発表。売上高を97億円から100億5000万円(前年同期比3.4%増)へ、営業利益を3億円から6億7000万円(同41.1%増)へ、純利益を1億円から4億円(同34.7%増)へ上方修正、これを好感した。主力のオート機器事業では昨年に引き続き政府助成金制度の効果により門型洗車機が順調に推移し、オイル機器の新機種投入効果なども表面化している。

 コロナ<5909>=大幅反発。
同社は前週末21日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(4~9月)連結業績について、売上高が従来予想の356億円から366億5000万円(前年同期比6.9%増)へ、営業損益が3億円の赤字から1億9000万円の黒字(前年同期8億9600万円の赤字)へ、最終損益が2億円の赤字から2億1000万円の黒字(同5億2900万円の赤字)へ上振れたようだと発表しており、足もとの業績好転を好感した買いが入っている。ルームエアコンなど空調機器の販売台数が、当初見込みに比べて大きく増加したことが要因。

 テクノスマート<6246>=ストップ高。
同社は21日取引終了後に、17年3月期第2四半期累計(4~9月)の単独業績予想修正を発表。経常損益は従来の7500万円の黒字を大きく上回り、3億円の黒字(前年同期は損益トントン)になったようだと発表した。売上高予想は43億円から44億円(前年同期比14.1%増)に増額修正。設計仕様のより一層の見直しや、多岐にわたる原価低減などが利益を押し上げるという。なお、通期業績予想は従来計画を据え置いている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想