心理的な200日移動平均線に接近も「押し目」を探る展開

著者:平野朋之
投稿:2016/10/24 11:55

■目先の値動きと、中期のファンダメンタルズは切り離して相場をみる展開


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■先週末は、ユーロドルがブレクジット時の安値を更新し、今年3月以来の安値水準となったこともあり、ドル円相場も重い展開となりました。
前日のドラギ総裁会見でQE(量的緩和)を停止することはないだろうと発言したことで来年3月以降も延長することに対する確信が強まったとみています。

ECBがテーパリング報道も話題としてでたものの、やはり経済再生や英離脱の影響、そしてインフレ率2%へ戻ることを大前提として考えると、緩和策は継続せざるを得ないという印象です。この流れは、日本も同様に感じます。

そして、年内追加利上げ濃厚な米国との金利差はもちろんのこと、政策面での乖離は拡大し、結果的にはドル独歩高となり、新興国や資源国経済の資金流出問題につながります。その意味でも、FRBの政策スタンスは日増しに難しさだけが浮き彫りになっています。


■ドル円は、ここ数日の動きを見る限り、104円台に上昇しても押し戻される動きが続いています。心理的に200日移動平均線に接近していることや、105円の節目もあり、上値に対しては更に慎重になっているイメージが受け取れます。

更に、最後のテレビ討論会も終了し、クリントン氏優勢の展開で終盤戦に入っています。この状況からすれば大方、決まりというのが通常の見方で、「トランプリスク」も消えつつあります。

そんな市場を取り巻く環境が好転しつつも、ドル円は一方通行にいけないのはなぜなのか…?

潜在的に英国・ユーロ圏・中国、そして原油価格と一見、全て穏便に収まっているようにみえるものの、「不透明」は拭いきれていません。
特に、直近ベースで見れば11月OPECによる協調減産などで期待感はあるものの、現実的に需給ギャップから見れば供給過多は解消されていません。

つまり、リスクとつくものが多すぎるがゆえに、結局は「日本円」を買わざるを得ないのです。その意味では、現在のドル円相場は「陽の極」に見えてしまうのです。多少のブレはあるものの、大局観から見ればやはり、【中期的な】ドル高円安トレンドに入ったというのは未だ時期早々です。
目先の値動きと、中期のファンダメンタルズは切り離して相場をみる展開は続いています。


■最後に、本日のドル円は、ユーロドルや原油の動向を横目にしながらの展開と予想し、短期的には押し目買い優勢とみています。以下は、押し目ポイントです。

・先週末安値…103.53円
・10月19日安値…103.18円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想