利益確定売りが入りやすい局面 - ただ期待感は米雇用統計まで続く…!?

著者:武市佳史
投稿:2016/08/31 11:01

◆“ほぼドル全面高”の展開

※ご注意:予想期間は9月1日と表示されていますが、本日(8月31日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


再び、ドル買い・円売りが加速しました。

注目のフィッシャーFRB副議長インタビューは「年内複数回の利上げが可能」とするなど、“タカ派寄り”が継続しました。
しかし「利上げは経済情勢次第」という前週末発言も踏襲しており、明確な時期が示唆されることはありませんでした。
これを「さらに踏み込む」を期待していた向きには“肩透かし”と映ってしまったのか、発言後には上げ渋る場面が見られました。
それでもNY勢はドル買いで追随し、NYタイム中盤には103円台へと駆け上りました。
対ユーロでもドル買いが目立ちましたので、“ほぼドル全面高”の様相だったといえます。

◆そろそろ「利益確定売り⇒一旦反落」の懸念が台頭…?

もっとも昨日のドル買いは“新規買い”というより“ドル売りの巻き戻し”との色合いが濃く、『9月利上げを疑問視する声』は相変わらず残りました。
米消費者信頼感指数は好内容(2015年9月以来の101.1)でしたが、9月利上げの行方に関しては“米雇用統計次第”の面が強く、慎重姿勢も目立った格好といえます。

この103円台は“先月終盤以来”の水準になりますので、「国内輸出筋は積極的にドル売りオーダーを持ち込んでくる」と考えるのが自然です。
これが前記した慎重姿勢と重なると、大きな抵抗ラインとして上値を押さえ込んでくる可能性が否定できません。
これまで“戻り売り”を志向してきた向きが、そろそろ“様子見”もしくは“押し目買い”へ転換しつつあることも、「利益確定売り⇒一旦反落」を懸念させます。

◆それでも『9月利上げの可能性』は意識せざるを得ない…!?

それでもマーケットは『9月利上げの可能性』を意識せざるを得なくなりつつあり、それでいてドル売りに傾斜したポジションはまだ残存している印象があります。
本日予定される米雇用統計の前哨戦(ADP雇用統計)が事前予想(+17.5万人)を上回るようなことがあると、「米雇用統計も好内容⇒さらに巻き戻し加速」という思惑が台頭する可能性は残ります。

オーダー状況を見ると、103.20-25円に“ドル売り/ドル買いオーダーが背中合わせ”で展開しているように見えます。
突破できると“7/21~8/16の50%戻し(103.500円)”を目指す。
できなければ“前記した利益確定売り懸念もあって、103円ラインを挟んで足踏み”と考えたいところです。
少なくとも「米雇用統計を確認するまで」は、期待感が剥落することはないと考えます。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:104.439(7/21~8/16の61.8%戻し、日足・一目均衡表先行スパン下限)
上値4:103.985(ピボット2ndレジスタンス、大台)
上値3:103.500(7/21~8/16の50%戻し、週足・一目均衡表転換線、ピボット1stレジスタンス)
上値2:103.264(7/29~8/16の61.8%戻し)
上値1:103.126(8/30高値)
前営業日終値:102.952
下値1:102.679(50日移動平均線)
下値2:102.438(8/30安値後の50%押し)
下値3:102.276(8/30安値後の61.8%押し)
下値4:102.075(8/30安値後の76.4%押し、ピボット1stサポート)
下値5:101.954(8/26~8/30の38.2%押し、大台)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

17:57 ドル円 抵抗・支持ライン追加(午前中にあげるものを失念しておりました)
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想