“米9月利上げの有無”は未定だが、目先の“上値余地は広がった”…!?

著者:武市佳史
投稿:2016/08/29 10:50

◆イエレン&フィッシャー発言でドル円急伸

※ご注意:予想期間は8月30日と表示されていますが、本日(8月29日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


注目のイエレンFRB議長講演は“タカ派”に寄り、フィッシャーFRB副議長発言が“追い打ち”をかけました。

まず「この数ヵ月で利上げの論拠が強まった」とのイエレン発言は、瞬間的にドル買いを促しました。
しかし“具体的な時期”が示されなかったこともあり、101円台に到達する程の勢いはありませんでした。
これを補ったのがフィッシャーFRB副議長の「イエレン講演は9月を含む年内2度の利上げを示唆する内容」発言であり、金利選好のドル買い・円売りが加速していきました。
NYタイム中盤には102円手前まで急伸し、そのまま高値圏を維持して先週末の取引を終えています。

◆マーケットは全く“米9月利上げの可能性”を織り込んでいない…

「年内利上げの可能性を残し」ながらも「利上げ時期は曖昧」という講演内容は、筆者としては“概ね想定通り”の結果だったといえます。
しかしながらフィッシャーFRB副議長の後押し発言は“うれしい誤算”であり、来月2日の米雇用統計次第では“9月利上げの可能性”も残されたことになります。
マーケットは全くといっていいほど織り込んでいない状況を考えると、少なくともその結果を確認するまでは“金利選好のドル買い・円売りが入りやすい”と考えるのが自然ということになります。

102円台には国内輸出筋のドル売りオーダーが展開していますので、もしかすると一足飛びの上値窺いは“期待先行”の謗りを受けるかもしれません。
それでも「7/21~8/16の38.2%戻し(102.500円)」「8/8高値(102.647円)」「50日移動平均線(本日は102.745円)」等へと、“上値余地は広がった”と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:102.745(50日移動平均線)
上値4:102.647(8/8高値)
上値3:102.519(8/9高値、7/21~8/16の38.2%戻し、7/29~8/16の50%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値2:102.264(8/12高値)
上値1:101.933(8/26高値)
前営業日終値:101.770
下値1:101.490(8/26安値後の23.6%押し)
下値2:101.217(8/26安値後の38.2%押し)
下値3:101.000(大台、20日移動平均線、8/26安値後の50%押し)
下値4:100.774(8/26安値後の61.8%押し)
下値5:100.500(8/26安値後の76.4%押し、ピボット1stサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:19 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想