スピード調整で値固め、米経済指標に伴う円相場注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/01 20:52

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、今週の急ピッチな戻りの反動もあり、一時売り優勢に傾く場面は想定されるものの、総じて値固めの動きとなりそうだ。今週初からの5日続伸で、日経平均株価の上昇幅は合計730円に達している。短期間での急速な戻りに対して、スピード調整のムードが広がることも想定される。日経平均株価の想定レンジは、1万5300~1万6000円とする。

 市場関係者からは「来週は米国で重要経済指標の発表が目白押しで、その内容によって、外国為替市場の円相場がどう動くかがポイントになる。英国の欧州連合(EU)離脱によって、米利上げは大きく遠のいている。そのなかで、米景気の弱さが示されると、円高進行が再燃する可能性もある」との見方が出ていた。

 ただ、英国のEU離脱に伴う交渉は先送りとなる可能性が高まっており、心構えも含めて、さまざまな対応策を講じる時間的な余裕が出来てきたという意識が投資家を冷静にさせている面もあるようだ。

1日の動意株

 シンデン・ハイテックス<3131>=後場に入り急上昇。
同社は、午後1時ごろに自社株買いを発表しており、これを好材料視した買いが入っている。上限を11万株(発行済み株数の6.51%)、または1億3000万円としており、取得期間は7月4日から12月22日まで。資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するとともに、株主への一層の利益還元を目的としているという。

 ストライク<6196>=ストップ高。
同社はM&A(株式譲渡・事業譲渡・合併などの組織再編・資本提携など)の仲介業務などを手掛けている。21日に東証マザーズに新規上場。公開価格3440円に対し初値は2.25倍の7770円をつけた。その後、6000円台を中心に一進一退が続いたが、この日再度、7000円台を回復した。「相続絡みなどでのM&A事業の成長性が評価されている」(市場関係者)という。

 デジタルデザイン<4764>=後場に入って急動意。
同社はきょう午後2時20分、地方創生事業の拡大を目的に、子会社のDDインベストメント(DDI)がOdigo Japan(東京都豊島区)と業務提携することで合意したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。Odigo Japanは、台湾上場企業レッドホースコーポレーションのグループ会社。DDIは戦略的業務提携を行うことで、Odigoが持つ外国人ネットワークへのアクセスが可能になる。

 Gunosy<6047>=一時ストップ高。
同社は6月30日取引終了後、16年5月期の連結業績予想の修正を発表。前の期は連結開示を行っていないことから比較はないが売上高を42億1000万円から45億9900万円へ、営業利益を4億600万円から5億6200万円へ、純利益を3億5500万円から6億500万円へ上方修正した。新規ダウンロード数やダウンロードしたユーザーの継続率及び1ダウンロード当たりの収益性について、いずれも計画を上回り順調に推移している。

 津田駒工業<6217>=急騰。
同社は6月30日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(15年12月~16年5月)連結業績について、営業利益が2億5000万円から5億円(前年同期3億100万円の赤字)へ、純利益が1億5000万円から3億円(同2億9100万円の赤字)へ上振れたようだと発表しており、これを好感した買いが入っている。繊維機械事業で中国市場が落ち込む一方、インド市場の販売強化が成果を上げたことで、売上高は従来予想の202億円(前年同期比16.7%増)を据え置いた。ただ、安定した生産のもとで、生産効率化の効果が表れたことから営業利益は上振れたという。

 ショーケース・ティービー<3909>=ストップ高。
この日の午前10時、同社と独自のAI(人工知能)技術でビックデータ解析サービスを提供する米アダトス社(シリコンバレー)と業務提携を発表し、業績拡大への思惑から買いが集まっている。同提携は、アダトス社が提供するソフトウエアならびに分析サービスを、ショーケースTVの日本国内顧客である金融業界とEC業界を中心に提供を開始するというもの。また、双方の技術を融合した新商品開発のための企画および研究開発を実施するとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想