見送りムード継続、サミットの動向を注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/05/25 18:10

明日の東京株式市場見通し

 26日の東京株式市場は、伊勢志摩サミットが開幕し、その動向が随時報道されることから、市場の関心を集めることになりそうだ。ただ、参加各国首脳がそれぞれの財政や金融政策、外国為替市場への対応など、株式市場から見て関心の高い課題について、どの程度具体的な姿勢を示すかは明確ではない。したがって、手掛かり材料難からの見送りムードは継続しそうだ。

 市場関係者からは「きょうの日経平均株価は3日ぶりに大幅高となったが、東証1部の売買代金は1兆7826億円と極端な薄商いが続いている。外国為替市場での1ドル=110円への円安進行を手掛かりに、株価指数先物主導で現物株市場も買い進まれた」との見方が出ていた。確かに、日経225指数への寄与度の高いファーストリテイリング<9983>KDDI<9433>ファナック<6954>、ソフトバンク<9984>の4銘柄の合計で、日経平均株価約100円分の上昇を占めるかたちとなった。

 25日の東京株式市場は終始買いが優勢の展開で、日経平均株価終値は前日比258円59銭高の1万6757円35銭と3日ぶり急反発した。ただ、東証1部の売買代金は、活況の目安とされる2兆円を5日連続で下回った。

25日の動意株

 マネーパートナーズグループ<8732>=値を飛ばし一時ストップ高。
金融とITの融合を意味する「フィンテック」が株式市場でテーマ性を帯びるなか、今年3月には政府が「ビットコイン」など仮想通貨に対する規制を盛り込んだ銀行法および資金決済法改正案を閣議決定、仮想通貨に対し貨幣としての機能を認めたことで物色人気を加速させた。ビットコインは保守的な金融機関にとっては距離を置く分野だったが、世界の潮流には抗えず、相次いで関わりを持つ動きが表面化している。そのなか、25日には改正銀行法が参院本会議で成立したことで関連銘柄への注目度が改めて高まっている。

 トリケミカル研究所<4369>=急反発。
同社が24日の午後4時過ぎに提出した大量保有報告書(変更報告書)で、レオス・キャピタルの保有割合が直近の10.79%から12.50%に上昇したことが判明しており、需給思惑が働いているようだ。なお、保有目的は「投資一任契約」および「投資信託委託契約」に基づく純投資としている。

 オークファン<3674>=後場に入って急騰。
同社はきょう、子会社でBtoB卸プラットフォームを運営するNETSEAが、シーセンス(ノルウェー)のソリューションを導入しサイト内の利便性・収益性向上に着手したと発表。これによるユーザー数の拡大などが期待されているようだ。

 ニトリホールディングス<9843>=大幅反発。
同社は24日取引終了後、5月度(4月21日~5月20日)国内売上高を発表しており、既存店売上高は前年同月比7.0%増と6カ月連続で前年実績を上回ったことが好感されている。ゴールデンウイークの曜日並びが昨年に比べて良かったことや天候にも恵まれたことから売り上げは好調だった。ホームファッション商品では、接触冷感機能を持つ「Nクール」シリーズが牽引し寝具類の売り上げ増に寄与したほか、オーダーカーテンやクッション、カラーボックスなどの収納整理用品も順調だった。なお、全店売上高は同13.2%増だった。

 フジミインコーポレーテッド<5384>=急反発で年初来高値更新。
いちよし経済研究所は24日、同社株のフェアバリューを2000円から2200円に引き上げた。レーティングは「A」を継続した。スマートファン向けを中心と推測される一般工業用研磨材が回復しているほか、半導体の微細化プロセスの進展によりCMPスラリーも拡大している。同証券では17年3月期の連結営業利益を前期比27.2%増の42億円と会社計画(38億円)に比べ増額修正を予想。18年3月期は同45億円への増益を見込んでいる。

 山九<9065>=急伸。
24日付で三菱UFJモルガン・スタンレー証券がレーティングを「ニュートラル」から「オーバーウエート」へ、目標株価を633円から700円に引き上げた。業界の人材不足の環境下で同社の人材拡大によるメンテナンス品質向上と施工能力向上が受注拡大へ繋がる好循環が生まれていることを評価。17年3月期は通期連結営業利益で会社側計画の245億円(前期243億1700万円)に対して従来予想の251億円から265億円へ、18年3月期を245億円から271億円へ引き上げている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想