ドル円年初来安値更新!

著者:川島寛貴
投稿:2016/04/30 22:01

2015年10月来の安値へ

ドル円の下落が止まりません。
昨日は日本が祝日でしたが、アジア市場が開き取引ボリュームが増えるとともに一気に円高へ。

欧州時間に安値を更新した後は安値でもみ合い、米国市場開始前にショートカバーへ。
アジア市場の戻り高値ちょうどまで戻ったものの、上値が重く調整幅は50銭程度。
NY市場では円高しかないとばかりに一気に107円割れとなりました。
欧州時間と違い円買い圧力が強く、NY後場には米国財務省の為替報告書で日本を含む5ヶ国が監視対象となったこともさらなる円高を推し進めることとなりました。
NYクローズはほぼ安値引け。センチメントは非常に悪く思えます。

為替報告書は問題なし

先日のG20に引き続き、米国から円高に振れる材料が出ましたが、これは特に問題ないとみています。

2013年4月の為替報告書でも日本が指摘されていました。当時のドル円は98円。ヘッドラインで50銭ほど円高に振れてその週を終えました。そして翌週どうなったでしょうか。
なんと、1日で下げ幅を埋めることとなったのです。

日本だけを名指しで批判されたわけではなく、すでにG20でも指摘されていましたから、これは今後の円高の材料とは考えられません。

今回年初来安値を更新した大きな理由は、市場参加者が傷んでいることではないでしょうか。
5.23ショックや昨年のチャイナショックのあとの値動きを思い出してもらえればと思うのですが、とにかく戻りが弱い。下がるところまで下がってしまうのです。
多くのトレーダーが損失を被っている時は、日付が変わると売られますし、節目まで戻ると下がります。

そして、調整幅が1円もないほど小さい傾向にあります。
110円台から107円台まで下落した時は60銭ほど。今回の最大の戻りは80銭です。
これが今回の下落の底打ちを見極める一つの指標となります。

今回の『下がるところまで』とは、2014年10月の安値である105円となります。
ドル円は5円ごとに大きな節目がありますが、ここもやはり2014年の年初の高値であり、105円を突破し110円を付けた後のレジスタンスラインとなるなど、しっかりと機能しています。

このまま何もニュースがなければ、恐らく週開けには105円台を提示する可能性が高いでしょう。しかし、ここでは上記のテクニカル的要因と売り方の利益確定が起きるために底打ちとなる可能性が濃厚。
中長期で買いたい投資家も多いでしょう。

下落も東京株式相場が開く9時までとなり、それ以降の東京市場は安値から80銭以上の上昇となりいったんの底打ちとなるのではないでしょうか。

目先の戻りの目途としては、底抜けに12時間を要した106円後半。抜けて107.40-50円。週明けの東京市場でここを超えてくるイメージはありません。
最近の相場は、急落後に戻ったとしてもダブルボトムを付ける傾向があります。値付近で拾えた場合でも、ある程度戻ったところで一部利益確定をしておき、拾い直しのスタンスを持っておいたほうが良さそうです。

最悪の事態を想定

もしも、ドル円が105円で止まらず下落した場合はどうでしょうか。
値動きのイメージとしては、8月24日のような値動きを想定。そうなると、100円割れが視野に入ってしまいます。

ドル円が3円下落し、日経平均は先物ベースで1700円下落しました。
もし100円割れとなると、単純計算で日経平均はあと2,000円下落しなんと13,000円台に突っ込むことになります。今のところ、そうなるファンダメンタルズではないと思いますが、相場ですから何があるか分かりません。

もしものことを想定しつつ、105円がサポートされてダブルボトムを付けた後は、4月の中心レート付近である109円へ戻るのではないかと見込んでいます。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想