ユリウスさんのブログ

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尖閣問題から中国の対日戦略を見る -用意周到、執拗、威嚇-


 安倍内閣になってから、我が国の防衛政策がかなり真剣に議論されるようになってきたことは大いに喜ぶべきことだと思う。では、国民の命や財産(国土や海洋資源も含むのは当然のこと)を、誰から、どのように、守ればよいのか? ここのところを明確にしなければ、適切な具体的政策を打ち出すことは難しい。

 まず何が脅威の源なのか、尖閣問題の事実を長期スパンで見て、そこからこの問題を考える糸口を見い出すこととしたい。素人がこのような大問題に物申すときに、長期スパンで事実を冷静に見、相手の脅威の実態と戦略を十分研究しなければならないことは申すまでも無いこと。その上で、国民は難しい判断をしなければならないのである。


 このエントリーは、主に「佐藤優の実戦ゼミ」(文藝春秋)を参考にしました。が裏話は極力避けて事実のみを時系列で並べましたので、虚心坦懐にご覧下されば何かが見えてくると確信しています。翔年は時系列をつらつら眺めて、我が国政府のあいまいな外交処理の仕方と、中国の用意周到なしたたかな戦略の違いが、ハッキリ見えてきました。


尖閣諸島関連のイヴェント時系列

1955年: 日中漁業協定(中国政府と民間の漁業団体で結んだもの)
  → 国交も成立していない時に中国政府と我が国の漁業団体の間で結んだ全くイレギュラーなものである。 

1968年: 海底調査によって、東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されている可能性があることが判明

1969年~1970年:  国連の海洋調査、推定1,095億バレル(イラクの埋蔵量に匹敵)の石油埋蔵量
  →  可能性ありの報告だけどえらいことです。我が国だけでなく、台湾も中国も目の色が変りました。

1970年:  台湾が領有権の主張を始める

1971年:  中国が「尖閣は中国の領土ある」と言い出す
  → これ以降、我が国のあり方が根本から問われている重要課題となりました。これから膨張する中華帝国の行動原理をみていきましょう。

1972年:  日中国交正常化(田中角栄首相と周恩来首相)
  → このとき、周恩来は「尖閣問題については議論しない」と言って棚上げした? 条約に書いてないのだから裏話か?

1978年:  日中友好平和条約締結(大平首相と鄧小平主席)
  → 実は条約締結の半年前、中国の漁船百隻が大挙して尖閣の海域に押し寄せてきた事件があった。だが条約締結時に、鄧小平は「我々の世代の人間には智慧が足りない。次の世代はもっと智慧があるだろう」としゃらっと述べたらしい。日本政府は「よかった!」と思ったのではないか? 日本政府はこれに合意したことはないと主張しているが、「棚上げ論」は認めているらしい? ちょっと辻褄があわない。(笑)
 外務省の条約局長、高島益郎が「尖閣の帰属も決まらないのに国交を正常化していいのか」と正論で抵抗した事実は残っているが…。

1991年:  フィリピンの米軍のクラーク基地とスーピック基地を閉鎖
  → 南シナ海の力のバランスが大きく崩れたのです。

1992年:  中国が「領海法及び隣接区域法」を制定
  →  米国の後退に乗じた中国は、尖閣諸島だけでなく、台湾や他国と領有権争いのある南シナ海の島などを中国の領土であると一方的に規定した。当時、昭和天皇の訪中で我が国は盛り上げっていた。しかし、実はこの時に中国は「国有化」してたのですね。鄧小平自身が「棚上げ論」を反故にしたことに我が国は反論したのかな?  気づいていたとしても、事を荒立てることはしなかった? このあたりの中国政府の獰猛さと日本政府のお人よしさは対照的ですね。日本人はここから学ぶべきです。
 

1997年: 日中漁業協定(両国の排他的経済水域でのルール)
  → 佐藤優氏によれば、これに関して、双方が内容を確認する交換公文でない変な書簡が付属しているという。????  裏取引してるみたいに見えます。
 一つは小渕恵三外相が中国の大使宛て。「尖閣諸島周辺の排他的経済水域において中国国民に関してのみ、日本の関係法令を適用しない。」 これはなんじゃ、酷すぎるとおもいません?
 もう一つは中国大使から小渕外相宛。うえと同趣旨を記した書簡です。

2010年
09月:  尖閣諸島沖にて中国漁船が我が国巡視船に衝突
  → このときの民主党政権は、加害者である中国の船長も船もみんな中国に返したのでした。中国はレアアースの対日禁輸措置、藤田社員の拘束などの暴力的脅迫に経済的嫌がらせを絡めてきた。


2012年
06月07日: 英国のフィナンシャルタイムズに丹羽宇一朗中国大使が東京都の尖閣購入計画に対して「実行されれば、日中関係にきわめて深刻な危機をもたらす」と発言した。
  →  中国側から伝えられて、それを代弁した(言わされた)ものらしい。後で浅はかだったことが分ります。

08月:    「にっぽんの国有化は大問題だ」という論評が中国のメディアにあふれ出す。
08月15日: 香港の活動家と称する一団が尖閣に強行上陸

09年09日: APEC(ウラジオストック)で民主党の野田首相と胡錦濤主席が15分会談
  →  椅子にも腰掛けないお粗末な会談でした。が、胡錦濤は「どのような方式であろうと島購入は不法で、無効だ。断固として反対する。」という強硬な発言をしたという。

09月11日: 日本政府が尖閣国有化を閣議決定し発表
  →  中国の強い反撥にあって、政府は大慌てで外務省の杉山局長を北京に派遣した。
 
09月13日: 尖閣諸島の周辺海域を「領海」と主張する海図を国連に申請
09月19日: 海底や地下の探査・開発の権利が認められる「大陸棚の延伸」を国連に申請
     


今日の読売新聞夕刊より

中国、「対尖閣」基地計画…大型船やヘリ施設も
2015年6月13日16時51分
 【上海=鈴木隆弘】東シナ海や南シナ海などで監視活動を行う中国海警局が、中国沿岸部の浙江省温州市の海岸に、大型基地を建設する計画を進めていることが明らかになった。

 沖縄県・尖閣諸島周辺に派遣している公船の停泊や補修点検、乗員の訓練が目的とみられる。日中間では民間交流再開など緊張緩和が進んでいるが、習近平シージンピン政権は東シナ海での主権の主張は譲らず、公船の派遣を継続、強化する構えだ。

 今月初め、温州市が中国海警局など関係部門と開いた基地建設に関する会議の内容が、浙江省のホームページに掲載された。それによると、計画中の「温州指揮総合保障基地」は敷地面積50万平方メートル、岸壁の長さ1200メートルで、排水量1万トン級までの大型船など最大6隻の艦船の停泊を可能とし、飛行機やヘリコプターの格納庫、大型の訓練施設も建設する。総工費は33億4000万元(約670億円)で、中央政府が全額負担する。

 ホームページでは、温州市は尖閣諸島まで約350キロ・メートルと中国の沿岸主要都市の中で最も距離が近く、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)の海上権益を守るために常態化している巡航に有利だ」とも指摘。完成時期には触れていない。基地に関する情報は12日までにホームページから削除された。

 中国は2012年9月の日本政府による尖閣諸島国有化以降、尖閣諸島周辺海域に公船を継続的に派遣して主権の主張を強めている。これらの公船は主に中国海警局東海分局(所在地・上海市)所属で、上海や浙江省寧波、福建省アモイから出港しているとみられる。温州に基地が完成すれば、従来の出港地で尖閣諸島に最も近い寧波より距離が100キロ・メートル以上縮まる。




日米安全保障条約の第5条
 日本人は憲法9条は知っていても、日米安全保障条約の第5条を知っている人は少ない。第五条には「自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とあります。
 → この条文によれば、アメリカは日本有事の場合、自動的にアメリカが守ってくれるわけではありません。「自国(アメリカ)の憲法上の規定及び手続き」がどうなるのかによって、関与の度合いは大きく異なる結果になりうることを、我々は知っておくべきでしょう。


我が国の憲法改正問題
 いよいよ、日本人は否応無く、腹をくくって「憲法改正」のための真剣行動が必要になってきたようです。「戦争に巻き込まれたら恐い」、「なんとしてでも巻き込まれないようにしなくちゃ」と繊細な神経で事細かに憲法の条文に整合する法律をいくつ作っても、戦争に巻き込まれないという保証はどこにもない。むしろ時代のニーズに合うように憲法を改正し、しかるべき抑止力を自前で整備し、同じ価値観を有する諸国と集団的安全保障を講じて、毅然とした平和志向の日本国を世界にアピールした方が、巻き込まれる恐れは少ないかも知れません。いや、そうしなければなりません。
 今度こそ、条文の細かすぎる解釈にたよっては拡大解釈を重ねるようなご都合主義や相手国とのあいまいな裏取引をやってはならないと思います。





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登録日時:2015/06/13(13:16)

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