元祖SHINSHINさんのブログ

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京大卒の翻訳家をぶっ飛ばした、炎の男 その2

中也の友人たちはみな、知識レベルが高かった。

大岡は京都大学卒でスタンダールの翻訳を手がけ、中也が影響を受けた詩人の富永太郎もフランス象徴派の詩人に通じ、ドイツ語が堪能、中也から恋人を奪った小林秀雄は東京大学仏文科のエリート。

 

一方、中也は山口中学で落第し、上京後に日本大学予科に入学するが、退学。

学歴はないが、臆さなかった。

 

「大概の日本人は、西洋の知識を持ったやつにコンプレックスを持つんですが、

 中也はそんな知識が何になるんだと思っていた。

 知識は詩にとって役に立たないと本能的に知っていたんだと思います」

 

佐々木は、第4次となる中原中也全集の編集を手がけ、驚いたことがあった。

それまでの全集では、中也が手がけた仏の詩人、ランボーの翻訳を、

友人の大岡が間違っているからと直していた。

だが、ランボー研究の最新の成果をふまえて見直したところ、

8~9割は中也訳の方が正しかった。

第4次の全集では、すべて中也の翻訳に戻したという。

 

「詩の心、ポエジー(詩情)というのは、世界共通なんです。

 だからフランス語が中途半端であってもポエジーに立ち返って言えば、的に当てることが出来る」

と佐々木。

 

近代知識人が西洋文化にひれ伏したのに対し、

中也は背筋を伸ばして日本語の言葉で勝負し、詩を書いた。

 

「それは一番まっとうなことだと思います」

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★「あの人と、酒都放浪」

  小坂剛著 中公新書クラレ 2013.9.10.発行 880円+税

 「第二章 哲学と詩と歌と」の「知識より詩情」P.100~101より抜粋・一部改変 

 

佐々木幹郎という詩人が、中原中也を評した部分。

大岡とは、大岡昇平のことで、やがて小説家となったという。

その男を、このように時間を経てからぶっ飛ばしたとは、中也恐るべし!

 

他の箇所では佐々木がオモロイことを語っていた。

現代の世に中也が生きていたとしたら、絶対に彼を嫌いになるという。

とにかく酒癖が悪かったからだと。

 

青山二郎が東京の京橋に開いたバーに、中也は夜な夜な通い詰め、

来る客の話すべてに耳を立て、気に入らないと「おまえらは堕落している」と絡みつき、

やがてその店は潰れたのだという。

 

オイラも今度、スナック門で言ってみよっとw

「おまえらは堕落している!」

 

そして、「汚れちまった悲しみに・・・・」

を、ジェームス・ディーンみたいになって朗読してやるんだ。

警察呼ばれない程度に。

 

 

 

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