呑気呆亭さんのブログ

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OP研究① カレンダー・スプレッド

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<<図1>>  <<図2>>

カレンダー・スプレッドとリバース・カレンダー・スプレッドは、ボラティリティーが急変する時に役立つ有力な武器です。

カレンダー・スプレッドの実例を挙げれば、『4月限11250円コール売り+5月限11250円コール買い』
リバース・カレンダー・スプレッドなら、、『4月限11250円コール買い+5月限11250円コール売り』でしょうか。
権利行使価格が同じで限月の違うコールどうし(又はプットどうし)の組み合わせで売り買いの混ざったセットです。

しかし、ボラティリティーの予測が外れる事だってある。
ここでは、「ボラティリティー一定&原資産価格も不変」という条件で考えてみることにする。

<<図1>>は、コールのプレミアム(青の棒グラフと右軸)とセータ(赤の折れ線グラフと左軸)を「残存日数」の関数として表したものである。
念のため、使った数値を明記しておく。
◎原資産価格:¥10,000-
◎権利行使価格:¥10,000-
◎ボラティリティー:20 %

<<図1>>で、青の棒グラフは、右肩下がりになっており、コールのプレミアムがSQ日に向かって確実に減価していくことを示している。 他方、赤の折れ線は、一日あたりのプレミアムの減価を示したもので、セータと呼ばれる。
セータの値は、コールの買い(ロング)なら1日あたりの損失であり、
   コールの売り(ショート)なら、一日あたりの利益である。
赤の折れ線は、右肩上がりのグラフになっていて、SQ日が近くなると急にカレンダー・スプレッドの利益が増えることになる。

<<図1>>は、カレンダー・スプレッドにとって理想的な条件「原資産価格=権利行使価格」を満たしているので、SQ日まで保持すると最大の利益が得られる。
しかし現実には、期待通りには行かないことが多い。 そんな場合の例が<<図2>>に示されている。

<<図2>>は、<<図1>>と同様、コールのプレミアム(青の棒グラフと右軸)とセータ(赤の折れ線グラフと左軸)を「残存日数」の関数として表したものである。
<<図1>>と比べて、権利行使価格が500円高いだけで、それ以外の条件は同じである。
つまり、
◎原資産価格:¥10,000-
◎権利行使価格:¥10,500-
◎ボラティリティー:20 %

<<図2>>でも、青棒グラフは右肩下がりになっており、コールのプレミアムがSQ日に向かって確実に減価していくことを示している。  青棒グラフを見る限り<<図1>>との違いはたいしたことない様に思われるかもしれない。 しかし、赤の折れ線はかなり異なった振舞いをしていることが見て取れる。「残存日数」20日の辺りにピークが見られるのだ。 別の言い方をすれば、原資産価格と権利行使価格が離れている場合は、SQより前にタイム・バリュー(この場合 プレミアムに当たる)の減少が進み、SQ直前のプレミアム減価はあまり期待できないと言うことになる。
つまり、このカレンダー・スプレッドをSQ日まで持ち続けると損をすることになる。

では、どの時点でこのカレンダー・スプレッドに見切りをつけるべきなんだろう?
<<図2>>には、X軸(残存日数)に平行な黒い補助線が引いてある。
この補助線は、セータ曲線との2つの交点が、カレンダー・スプレッドに使われている2つのSQ日の間隔(上記の例では4or5週間)になるように引く。
具体的には、A点が期先のコールを、B点が期近のコールを表すことになる。
結論から言えば、期近コールがB点に到達した時点でカレンダー・スプレッドを手仕舞うのが良い。
リバース・カレンダー・スプレッドなら、この時点で開始する。{現実として、こちらはお薦めしない}
理由は簡単である。この後は、期近コールのセータが期先コールのセータより小さくなるのだ。カレンダー・スプレッドの場合で言えば、期先ロング・コールの減価が期近ショート・コールの増益を上回るのだ。
この時点より前は、常に期近コールのセータが期先コールのセータより大きく、カレンダー・スプレッドの利益が期待できる状態が続いている。

ここでの議論は、利益を得るための作戦というよりは、敗戦処理向けだと理解していただきたい。 (^_-)-☆
4件のコメントがあります
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    daikonさん
    2010/4/8 08:12
    おはようございます。

    たいへん見やすいグラフですね。
    文章で書かれたことがよく理解できます。

    経験則では、IVが時間の経過とともに上昇していきます。期近の方が期先より上昇が大きいかと思いますが、その要素を加えると議論が複雑化してしまいますね。
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    ママ ウサギさん
    2010/4/8 10:05
    おはようございます
    なんかすごい、まるで株教室の先生みたい
    私は最近、裁定取引について少し勉強と観察をはじめました
    6月9月12月並べて眺めて差が大きく開いたら仕掛けようと
    思ってますが、勇気がなくながめてます。
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    呑気呆亭さん
    2010/4/8 21:20
    ダイコンさん こんばんは、

    コメントありがとうございます。

    カレンダー・スプレッドは、やはりボラティリティーの変化を狙うものですから、
    あくまで目論見が外れた場合の敗戦処理の目安と考えた方が良いかもしれません。

    IVの変化を扱う件ですが、ブラック・ショールズ・モデルの主要項では必ず<<IV×SQRT(残存日数)>>と

    いう形で含まれますので、IVの変化は残存日数をシフトさせることで読み替えが出来ます。 例えば、IVの

    10%増加は同じグラフで残存日数の21%増で置き換えることが出来ます。

    原資産価値が変わった場合は、グラフの形が変わってしまうので、扱うのが面倒です。
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    呑気呆亭さん
    2010/4/8 21:29
    ママ ウサギさん こんばんは、

    コメントありがとうございます。

    裁定取引ですか。
    たぶん、コンピューターを駆使したロボットが裁定機会を狙って動き回っています。
    素人の手作業では太刀打ち出来ないかも・・・

    それと、スリッページが起こるので、見かけの利益を現実の利益に変えるのは難しそうな気がするんですが・・・

    面白いことが判ったら教えて下さい。 (^.^)/~~~
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