麦にゃんさんのブログ

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TOBは必要ない? パートVIII

KDDIが発足以来の巨額投資に踏み切ったCATV最大手、ジュピターテレコム(JCOM)への出資戦略が壁に突き当たった。金融庁の指摘で出資比率の引き下げを強いられたうえ、15日には既存大株主の住友商事がTOB(株式公開買い付け)を発表。JCOMの経営主導権を逃す公算が大きい。KDDIは「株の買い増しは考えていない」とし当面は住商との関係修復をはかる方針だが、両社の溝が埋まらなければJCOMの経営に影響を与える可能性もある。
 KDDIは1月25日にJCOMへの資本参加を発表した。筆頭株主である米リバティグローバル傘下の子会社を買収する形で、37.8%を3617億円で取得する計画だった。その後、金融庁からの指摘を受け、2月12日に出資比率を31.1%に下げると発表した。
 リバティと15年にわたる合弁パートナーだった住商は15日、間髪を入れずJCOM株のTOBを発表。記者会見した住商の大沢善雄取締役によると「リバティとは昨年末まで合弁関係の協議をしていたが、その後交渉を保留され、我々の知らないまま(KDDIと)話が進んでいた」という。
 関係者によると、住商は合弁契約の切れる2月18日に向け、リバティに株式の買い取り額を提示していたもよう。交渉保留の間にKDDIが高値で交渉を成立させたのに不快感を持ち、電撃TOBにつながったようだ。
 KDDIは住商のTOBに「コメントはない。もともと筆頭株主になるつもりはなかった」(広報)と説明している。だが通信業界では「KDDIはJCOMの子会社化を狙っていたはず」(アナリスト)との見方が大勢だ。小野寺正社長は資本参加の記者会見時、「(JCOMの)通信インフラを活用しNTTと設備で競争する」と話した。連結化で利益を取り込めば、赤字の固定通信事業も補完できる。
 KDDIは今のところ対抗TOBなどの措置をとらず、住商との関係改善を優先させるとみられる。リバティーが撤退する代わりに空く取締役のポストについても「他の株主との話し合いが前提」(広報)との姿勢だ。KDDIが対抗処置に出なければ、住商のTOBが成立する可能性は高い。だが住商側は少なくともTOBが終わる4月14日までは「接触するつもりはない」(大沢取締役)といい、両社のわだかまりは解けていない。
 関係修復が進まなければ、KDDIは巨費を投じたJCOMの主導権を逃してしまうばかりか、事業面でもJCOMの資産を生かせないといった事態になりかねない。
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