麦にゃんさんのブログ

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TOBは必要ない? パートVII

KDDIは12日、CATV最大手ジュピターテレコム(JCOM)株37.8%の取得方法を見直すよう金融庁に求められていた問題で、議決権の一部を凍結して出資比率を31.1%に下げると発表した。一方、JCOM株を27.7%保有する住友商事は出資比率を引き上げてKDDIに対抗する構えで、主導権争いの行方は見えない。
 KDDIは1月下旬、JCOM株を保有する米メディア大手リバティグローバル傘下の中間持ち株会社3社を総額3617億円で買収すると発表。3つの中間持ち株会社を通じて、JCOM株の37.8%を取得し筆頭株主になる計画だった。
 これに対し、金融庁は実質的に3分の1を超す上場企業株の取得となるにもかかわらず、TOBを実施しないのは金融商品取引法違反の恐れがあるとして、KDDIに取得方法を変更するよう促していた。
 今回、KDDIは金融庁の指摘に従ってリバティとの株式譲渡契約を変更。取得予定だったJCOM株のうち発行済み株式全体の6.7%に相当する部分を事前に信託し、議決権を凍結する。KDDIがリバティの3つの中間持ち株会社を取得しても、議決権ベースの出資比率が3分の1を超えないようにした。
 信託するJCOM株6.7%のうち、4.5%については信託銀行が市場内外で売却する予定。残る2.2%の将来の扱いは未定。KDDIは契約修正後もリバティが保有するJCOM株37.8%のすべてを買い取る枠組みは維持する。リバティからの取得総額も変更しない。
 KDDIは議決権ベースの出資比率引き下げで株主総会での重要議案に対する拒否権を失う。だが、JCOMが持つ330万世帯の顧客基盤を生かし、放送と通信の融合サービスでNTTに対抗するという戦略そのものについて「今回の契約修正による影響は何もない」(広報部)としている。
 とはいえ、KDDIが金融庁と株式取得方法をめぐって調整を進めていた9日には、リバティに次ぐ第2位株主である住商がJCOM株のTOBを検討していることが判明した。住商はKDDIを上回る3分の1超の出資比率を目指しているとみられ、KDDIにとってはリスク要因が浮上した。
 住商は商社の中でも特にメディア事業に力を入れており、映画会社や映画館の運営やテレビ通販会社も傘下にある。これらを有機的に連携させ、その発信拠点としてJCOMを活用する戦略を描いている。このため「JCOM抜きのメディア戦略は考えられない」(住商幹部)という。
 住商はTOBによって筆頭株主の地位を確保する方向で最終調整しており、今後、KDDIとの緊張関係が高まる可能性もある。
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