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[人物伝]池田敏雄氏の生と死(3/3)

池田敏雄はIBM互換路線を積極的に推進したといわれる。なぜIBM互換路線だったのか? それは傍目からはかなり不自然な選択だった。日本電気の会長だった小林弘治氏は田原総一朗氏 のインタビューに答えてこう言った。

「だって、IBMがちょっと何か変えたら、こっちも必死になってそれに合わせて変えなきゃならん。つまりIBMに振り回され続けなきゃならんわけで、そんなもの長続きするはずがないでしょ」。

小林氏の言うことは至極もっともで、むろん池田敏雄もそんなことは百も承知だったはずだ。 しかし、世界をターゲットにする、いずれくる日本のコンピュータ市場の自由化をにらむ、 の2つを考えると、70%以上のマーケットシェアをにぎるIBMを無視した戦略はとれなかった。 このとき富士通は世界を目指したのだった。 その後、互換機ビジネスで富士通は大きく躍進し、1979年富士通は日本国内でIBMを抜きシェアトップにたった。

しかし当時のIBMにとって日本のコンピュータ企業がアメリカはおろか、世界で商売するなどとんでもないことだった。そこはIBMのテリトリーだったのだ。事実アメリカ以外のコンピュータ企業はイギリスのICL、フランスのブル、ドイツのシーメンスなど数えるほどしかなく、それも経営状態はよれよれでIBMのおこぼれを拾っている状態だった(いずれも後に日本企業の支援を仰いでいる)。それに引き替え、日本は政府の強烈なバックアップのもと、富士通、日立、日電、沖、三菱などみな元気で、日本におけるIBMのシェアはみるみる落ち込んでいた。こうしたことはIBM経営陣にとって許し難いことだったにちがいない。 巨人IBMのパンチは、反トラスト法の鎖から解かれるとすぐ飛んできた。

1982年6月23日に突然のニュースとして伝えられたこの事件を覚えておられる方はもう少ないかと思う。しかし、今から思い出しても驚天動地の事件だった。日本のトップメーカーである日立製作所と三菱電機の技術者がIBM3081-Kの機密情報を盗んだとしてFBIに逮捕されたのだ。後ろ手に手錠された技術者の写真が大きく報道された。ダミー会社を仕立てたIBM+FBIのおとり捜査だった。

この事件の前の年、1981年1月米国の著作権法が改正された。 今までなかったコンピュータ・ソフトウエアの著作権条項を追加したのだ。 この改正の前まではソフトウエア著作権はあまり意識されていなかった。 富士通会長だった山本卓眞氏の証言を聞いてみる。

「富士通は汎用機に自社開発の基本ソフト(OS)を載せてIBM機との互換性を提供するビジネスを70年代前半に始めた。このころ、IBMはソフトウエア情報を公開しており、著作権表示もなかった」
       「私の履歴書」日経新聞1999/03/23朝刊

ところが、この著作権法改正以後、状況は一変することになる。 ソフトウエアの著作権は厳しく管理され、紛争も多発するようになった。 ソフトウエアの使用許可を与えるライセンスビジネスも興隆した。

1982年1月米国司法省はIBM反トラスト法訴訟を取り下げた。それまで11年間 IBMの活動を制約していたこのくびきは、レーガン政権の強いアメリカ構想により はずされた。そして半年後に事件は起こった。 当初から、この事件の本当のターゲットは富士通だったのでは?とうわさされたが、 それを裏付けるかのように同じ年の10月に富士通はIBMから著作権侵害の通告をうけた。 それは長い長いIBMとの著作権紛争の始まりだった。紛争はAAA(米国仲裁協会)に持ち込まれ、 1988年に決着するまで実に7年の歳月がかかった。 富士通は膨大な和解金(約8億ドル)を払った。 このAAAの裁定で、富士通はIBMから技術情報を開示してもらう権利を獲得した (ただし数千万ドルのライセンス料を毎年払って)。

このころ日本はバブル経済を昇っていたが、同時にコンピュータの世界では深く静かに ダウンサイジングが進んでいた。皮肉なことに富士通が社運を賭けてIBM互換機ビジネスを 守っていたその時期に、IBMを中心とした汎用機ビジネスのパラダイムが地下で崩れていたのだった。 1991年IBMは初の赤字を経験し、1993年3月期末決算で富士通も上場以来初めての 赤字を計上した。そのときすでにコンピュータビジネスの主役は汎用機ではなかった。 1993年7月富士通はその年の情報開示をIBMに要求しないと発表し、 事実上IBM互換路線を転換した。ひとつの時代は終わりを告げた。

池田敏雄が急逝した際、葬儀に駆けつけたアムダールは池田未亡人にアムダール社の持ち株の一部を さしだした。このエピソードを当時池田敏雄の下で 働いていた富士通名誉会長の山本卓眞氏が明かしている。

「富士通は米アムダールを完全子会社化するために株式公開買い付けを実施した。この時、天才・池田敏雄元専務の夫人から電話をいただいた。二十五年前の池田氏の葬儀に駆けつけたアムダール氏は、盟友の急死を嘆き、夫人にそっと株を渡していた。 「思いでの株を売らなくてはいけませんか」。夫人にこう聞かれて絶句した。二十五年間、だれも知らなかった」
    「私の履歴書 山本卓眞」日経新聞1999/03/31朝刊
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登録日時:2007/10/08(23:35)

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