GM株が株式市場の“オモチャ”になっていることの意味

[木下 晃伸さん]

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●【本日のニュース】／GM、幹部3人が再び株売却
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経営危機に陥っている米自動車最大手ゼネラル・モーターズ（ＧＭ）の幹部3人が、退職金の一部として取得するはずだったＧＭ株計約20万株を前倒しで受け取り、すべて売却していたことが20日分かった。ＧＭが同日、証券取引委員会（ＳＥＣ）に提出した文書で明らかになった。


ラッツ副会長ら3人は10％のペナルティーを支払ってＧＭ株を前倒しで受け取り、同日までに売却した。ロイター通信によると、3人が売却した株は計約21万4000ドル（約2000万円）相当。


11日にも同副会長ら幹部6人が保有するＧＭ株のすべてを売却していたことが判明。


（2009/05/21日経速報ニュースより一部抜粋）



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【ニュースの深層】GM株が株式市場の“オモチャ”になっていることの意味
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。


経済アナリスト、木下晃伸です。



■GM株が、米NYダウが横ばいで推移する中、暴騰しています。


※General Motors Corporation (Public, NYSE:GM)

http://www.google.com/finance?q=GM



■金融関連会社ＧＭＡＣが米政府から70億ドル以上の追加の資本注入を受けるとの報道や、子会社の独オペルの売却を巡る期待などから買いが優勢となった、という説明はたしかに分かりやすい。


先週末には、全米自動車労組（ＵＡＷ）と退職者の医療保険基金への拠出義務（200億ドル）を減らすことで合意したとの報道も見られ、安心感が広がっている、というのも分かります。


フォードを引き合いに出し、UAWとの交渉がまとまったことは、株高の号砲になる、とお伝えしたのは、今週初のことです。


●009/05/18
【投資脳のつくり方】UAWとの交渉進展は、株高の号砲か

http://archive.mag2.com/0000164032/20090518090000000.html



■しかし、“幹部が株を売却した”というニュースは耳を疑わざるを得ません。


情報を投資家よりも“絶対に”多く知り得る立場の人間が、その情報の非対称性を武器に自社株を動かす、というのは、日本ではインサイダー取引に引っかかると考えられます。


私自身、そのあたりの専門家ではなく、詳細に私自身が学ばなければならないと考えてはいますが、幹部の株売却は、常識的にも考えにくい行動。



■GMは、債権者との交渉がまとまらなければ、チャプター11申請になります。これがコンセンサスともなっています。


チャプター11申請のXデーは早ければ27日となる可能性も高まっています。


そして、その後は、“悪材料出尽くし”となって、株高につながるのではないか、と私は考えています。


その点は変わりません。



■ただし、株式投資とは、会社そのものに投資する行為となんら変わらない。


そして、会社そのものに投資するとは、会社の経営陣に投資する、ということとも同義です。


会社は、経営者によって大きく変わります。


いま、GMが病んでしまった病巣は、経営陣にある、と言わんばかりのニュース、と考えられます。



（文責：木下晃伸　きのしたてるのぶ）

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