[資源・新興国通貨3/24~28のポイント&注目通貨] 豪CPIに豪ドルが反応か

著者:八代和也
投稿:2025/03/24 14:31

今週のポイント

トランプ米政権による関税についての新たな報道により、関税を課される可能性が高まる国の通貨には下落圧力が加わりやすくなるとみられます。

豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルは26日の豪州の2月CPI(消費者物価指数)が材料になる可能性があります。CPIの結果を受けてRBA(豪中銀)の利下げ観測が強まる場合、豪ドル/NZドルなどの上値を抑える要因になりそうです。

27日のBOM(メキシコ中銀)の政策会合では、0.50%利下げすることが決定されそうです。その通りの結果になれば、BOMの声明で次回5月の会合について何らかのヒントが提供されるかに注目。声明で次回会合では利下げ幅を縮小する可能性があることが示されれば、メキシコペソのプラス材料になるかもしれません。

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19日にトルコリラが急落し、対米ドルや対円で過去最安値をつけました。トルコの検察当局がイマモール・イスタンブール市長を拘束したためです。イマモール氏はエルドアン大統領の最大のライバルとされており、23日に最大野党CHP(共和人民党)の次期大統領選候補に指名されると見られていました。トルコの政治リスクが市場で意識されてトルコリラに対して下押し圧力が加わりました。

トルコリラを下支えするため、19日に複数の国営銀行が大規模な米ドル売り・トルコリラ買いを行ったもようです。また、TCMB(トルコ中銀)は20日に緊急会合を開き、翌日物貸出金利を44.00%から46.00%へと引き上げるとともに、1週間物レポ入札を停止することを決定しました。事実上の金融引き締めと考えられます。これらにより、トルコリラ安はいったん落ち着くかもしれません。ただし、トルコ政治の混乱が続く場合、トルコリラには再び下押し圧力が加わる可能性があるため注意は必要です。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08500NZドル~1.10300NZドル>

豪ドル/NZドルは3月20日に一時1.08976NZドルへと下落し、24年10月1日以来の安値をつけました。

200日移動平均線を明確に下回ったこと(投資家の心理的側面)に加え、強弱対照的な結果だった豪州とNZの経済指標が、足もとの豪ドル/NZドル軟調の要因と考えられます。

豪州の2月雇用統計は、雇用者数が前月比5.28万人減と、市場予想(3.00万人増)に反して前月から減少。NZの24年10-12月期GDP(国内総生産)は前期比0.7%と、市場予想の0.4%を上回りました。

26日に豪州の2月CPI(消費者物価指数)が発表されます。市場では、RBA(豪中銀)は5月に利下げを行うとの見方が優勢です(次回4月1日の会合については、政策金利の据え置きを予想)。CPIが市場予想を下回る結果になれば、RBAの利下げ観測が高まるかもしれません。その場合には豪ドルのマイナス材料となり、豪ドル/NZドルは下値を試す展開になりそうです。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.41500カナダドル~1.46000カナダドル>

トランプ米大統領が2月1日(土)に「カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す(ただし、カナダのエネルギー資源は10%)」との大統領令に署名したことで、米ドル/カナダドルは2月3日(月)に一時1.47883カナダドルへと上昇しました。

ただその日を除くと、米ドル/カナダドルは24年12月中旬以降、おおむね1.41500~1.46000カナダドルで推移しており、明確な方向感が失われているように見えます。トランプ政権の関税政策が二転三転しているため、市場は動きづらいのかもしれません。

トランプ政権は4月2日に相互関税を導入し、自動車などの分野別関税を発動する考えを示しています。また、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)準拠品も再び高率の関税対象に含める予定です。

関税について新たな報道が出てくれば米ドル/カナダドルが反応しそう。カナダに対して高率の関税が課される可能性が高まる場合、米ドル/カナダドルには上昇圧力が生じるかもしれません。

カナダでは4月28日に総選挙が行われます。最大野党の保守党に大きくリードされていた与党・自由党の支持率は、1月のトルドー前首相の辞任表明をきっかけに上昇。最近の世論調査では両党の支持率は拮抗しており、選挙は接戦になると予想されています。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想