ギリシャ国民が緊縮に「NO」=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2015/07/06 08:59

ギリシャ国民が緊縮に「NO」

注目されたギリシャ国民投票は、緊縮反対派が多数を占めた模様で、これを受けて本日早朝のオセアニア市場で、ドル/円が一時121.70円前後まで下落する場面があった。同国の債務不履行(デフォルト)は避けられずユーロ離脱の可能性が高まったとの見方が広がり、リスク回避的な円買いが強まったようだ。

もっとも、ギリシャのデフォルトは既に織り込み済みの可能性が高く、市場への大きな影響は見込まれない。また、現時点でギリシャのユーロ離脱を想定するのは早計だろう。ユーロには離脱条項が存在せず、ギリシャがそこにとどまる意思を示している限り他の加盟国が一方的に切り捨てる事はできないためだ。

本日については、欧州市場にかけて要人発言などに神経質に反応する不安定な展開が見込まれるが、このまま一方的にリスク回避的な円買いが続く可能性は小さいと見ており、ドル/円の下値余地も大きくないと考えている。

結局のところ、国民投票の結果を受けてギリシャと欧州連合(EU)が支援協議を再開するより他に道はないと見られ、市場は今後、この交渉の行方を見守る事になるだろう。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想