時間の経過につれて“利益確定売り”は入りやすい局面 - それでも押し目の範囲内…?

著者:武市佳史
投稿:2015/05/22 10:49

◆ようやく“小休止”だが、底堅さは維持

※ご注意:予想期間は5月23日と表示されていますが、本日(5月22日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


ようやく昨日は“小休止”となりました。

FOMC議事録を終えたことによる“材料出尽くし”に加えて、弱めの米経済指標が“利益確定売り”を後押したからです。
米10年債利回りは4日ぶりに2.2%を割り込んだこともあり、上値の重い動きを強いられました。
もっとも日銀金融政策決定会合・欧州首脳会合等を控えた様子見ムードも強く、120円台ではすぐさまドル買いが見られるなど“底堅さは維持”したままで、昨日の取引を終えています。

◆本日は主要イベントがいくつも控えるが…

こうした中、本日は前記2つのビッグイベント+日米金融当局トップ(黒田総裁・イエレンFRB議長)発言が予定されています。
このため一つ一つを確認するまでは動きづらく、様子見ムードがさらに蔓延する可能性が指摘されるところです。

日銀会合に関しては、現状維持が見込まれています。
ただ一部欧米勢の追加緩和期待が波乱要因として懸念されており、昨日囃された「景気判断の引き上げ」も実際に行われれば円買い戻し圧力になるだけに警戒感が見られています。
ただ本邦1-3月期GDP(20日)が+0.6%だったことを考えると「継続的な円買い戻し圧力」になるとは想定しづらく、仮にそうなったとしても“あくまで一時的”と考えるべきです。

欧州会合に関しても、先行きも決して明るくなく、合意形成までには幾多のハードルが残っています。
「ギリシャデフォルトは現実味を帯びてきた」といわざるを得ないのかもしれませんが、ただ材料としては使い古された感が否めません。
もちろん決裂となればリスク回避志向が台頭するのでしょうが、こちらも“あくまで一時的”と考えるべきです。

日銀会合が動かないとすれば、黒田総裁も“無風通過”の可能性は高いといわざるを得ません。
となるとイエレン議長発言がもっとも注目ということになり、「経済見通し」が講演テーマとなっているだけに芳しくない“4月指標”への見解が注目ということになります。
しかしハト派寄りの同議長が“タカ派に転ずるとは想定しづらく”、一方でFOMC議事録にて“6月利上げの可能性がほぼ消滅”した直後ですので“よほどハト派でなければマーケットへの影響は軽微”となる可能性が否めません。

◆米欧英3連休を前に利益確定売りが入りやすい…

主要なイベントをいくつも抱える本日ですが、実は「どれもがサプライズ感乏しく、マーケットへの影響は軽微」との可能性を抱えていることになります。
となると、来週初は休場となる米欧英勢にとって、週初から押し上げられたドル円には利益確定売りという下振れリスクがまだ残っている可能性が浮上してきます。

発表までは“様子見”、発表後も“方向性を形成する動きは期待薄”となると、あくまでサプライズなしと見た場合ではありますが“時間の経過につれてポジション調整(ドル売り圧力)が増してくる”と考えたいところです。
それでもトレンドが転換するほどではなく、あくまでも押し目形成の範囲内に留まるのでしょうが…?

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:122.000(大台、3/10高値)
上値4:121.844(12/8高値水準、ピボットハイブレイクアウト)
上値3:121.660(3/11-12高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値2:121.456(5/20高値)
上値1:121.351(5/21高値、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:121.075
下値1:120.846(5/21安値、ピボット1stサポート)
下値2:120.555(5/20安値、ピボット2ndサポート)
下値3:120.474(5/13~5/20の38.2%押し)
下値4:120.325(ピボットローブレイクアウト)
下値5:120.171(日足・一目均衡表転換線、5/13~5/20の50%押し)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:26 ドル円 抵抗・支持ライン追加
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武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想