大きなネガティブでもない限り“下値は堅い”…!?

著者:武市佳史
投稿:2014/08/01 11:18

NYダウ急落も、底堅いドル円

※ご注意:予想期間は8月2日と表示されていますが、本日(8月1日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。

やはり昨日は、ひとまず休憩する展開でした。前日の急伸に対する利益確定/ポジション調整が入ったからです。また翌1日に米雇用統計を控えていることから、ドル買いには慎重姿勢も見られました。こうして東京タイム終盤には、102.70円水準まで値を下げました。

一度調整を入れたことで、欧州タイム以降には再びドル買いが優勢になる場面も見られました。NYタイム序盤には2.61%へと上昇した米10年債利回りにつれて、再び103円台に乗せる動きも見せています。もっとも103円台を積極的に買い上げるほどの勢いはなく、その後は102円後半を中心とした揉み合いに終始しました。それでもNYダウが300ドル超の急落を見せた割にドル円はしっかりしており、堅調な流れそのものは維持されました。

もう一つの正念場 - 本日はビッグイベント後半戦

こうした状況下、本日は米ビッグイベント後半戦(米雇用統計)を迎えます。

非農業部門雇用者数の事前予想は“+23万人前後”とされおり、前回(+28.8万人)から減少予想となります。
しかし「順調な景気回復を示すとされる+20万人」は上回っており、また直近の雇用関連指標も比較的堅調ですので、“強気の部類”に入ると見られます。

この“+23万人予想”からの上振れ/下振れがポイントと見られますが、この数値はある程度織り込まれた感があります。
このため「下回れば“失望にてドル売り”」、「予想通りでも“材料出尽くしでドル売り”」との見方が台頭しており、中には「+25万人超ないと“材料出尽くしでドル売り”」との見方まで存在します。

“大きなネガティブでもない限り、下値は堅い”…!?

しかしながらそれらを覆い隠すほど大きなポジティブとなったのが、先日の米GDPです。昨日の動きにしても、「急伸後の利益確定売り」「イベント前のポジション調整」が入りやすい環境下、「NYダウ急落」が重なったものです。このためもう少し下押ししてもおかしくない環境でしたが、にもかかわらずドル円の下値が限定されました。米雇用統計への期待感といってしまえばそれまでですが、これは“ポジティブに反応しやすく”“ネガティブには反応しにくく”なっていることの証左と考えます。

もちろん直近の結果は水物ですので出てみるまではわかりませんが、大きなネガティブでもない限り「下値は堅い」と考えます。そして直近の雇用関連指標を見ると「+20万人を割り込むとは思えない…」、つまり「少なくとも頭打ち⇒急反落はない」と考えます。

「発表までは小動き」、「発表後は揺れ動き」が想定され、「事前予想を下回れば売られる」場面も見られるかもしれませんが、「下値は堅い」と見ます。あわよくば、米GDPと相俟った「押し目待ちに押し目なし(つまり大幅続伸)」を期待…!?

ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:104.000(大台)
上値4:103.397(4/7高値)
上値3:103.240(ピボットハイブレイクアウト)
上値2:103.120(ピボット2ndレジスタンス)
上値1:103.064(7/30-31高値、5/2高値、大台、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:102.791
下値1:102.645(6/6-9高値水準、GDP急伸時の踊り場、7/30の38.2%押し、ピボット1stサポート)
下値2:102.552(7/30の50%押し、ピボット2ndサポート)
下値3:102.407(1月高値-4月高値を結ぶトレンドライン、7/30の61.8%押し、ピボットローブレイクアウト)
下値4:102.140(200日移動平均線、日足・一目均衡表転換線)
下値5:102.039(7/30安値、100日移動平均線、日足・一目均衡表基準線、大台)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

12:19 ドル円 抵抗・支持ライン追加
13:16 誤字修正
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武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想