【来週の注目材料】米FOMCの動向などにらみ注目集まる=米消費者物価指数(CPI)

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/05/11 17:10
【来週の注目材料】米FOMCの動向などにらみ注目集まる=米消費者物価指数(CPI)

 15日に4月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。
力強い米経済状況を受けて、米FRBによる利下げ開始時期の見通しが先送りされる状況が続いていましたが、3日に発表された4月の米雇用統計が予想外に弱い結果となったことで、早期利下げの期待が再び強まっています。
とはいっても次回6月のFOMCでは据え置きが確定的。7月以降どこかのタイミングで利下げが行われるか、もしくは年内見送りとなるか、そのカギを握る大きな材料の一つが米国の物価動向だけに、今回のCPIにも注目が集まっています。

 まずは4月10日に発表された前回3月分のCPIを確認しましょう。前年比は+3.5%と2か月連続で前月の水準を超える伸びとなりました。水準的には昨年9月以来の高水準となります。市場予想の+3.4%も上回る強い伸びとなりました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は、前年比+3.8%と2月と同水準の伸びでした。こちらも市場予想+3.7%を上回る伸びとなっています。
 前月比は+0.4%と2月と同水準、コアの前月比も+0.4%で2月と同水準。市場予想はともに+0.3%となっていました。

 前回の内訳を確認すると、昨年2月から前年同月比マイナスが続いていたエネルギー価格が、ガソリン価格の上昇もあって小幅ながらプラス圏を回復しました。
 鈍化が続いていた食品は2月時点で前年比+2.2%まで低下していたこともあり、2月と同じ+2.2%となりました。

 コア指数の項目では、財部門が3か月連続でマイナス圏となりました。マイナス圏が続く中古自動車が前年比⊶2.2%と3月分も弱い結果となりました。

 サービス指数は前年比+5.4%と高めの推移。昨年3月をピークに伸び鈍化が続いていた住居費が2月と同じ+5.7%で鈍化が一服しています。昨年4月からのマイナスが続く航空運賃は⊶7.1%と2月の⊶6.1%を超える下落となりました。

 先月26日に発表された3月の米個人消費支出デフレーターは前年比+2.6%と2月の+2.4%、市場予想の+2.5%を超える伸び。コアは+2.8%と2月と同水準で市場予想の+2.7%を上回りました。

 こうした物価の鈍化傾向一服が、市場の早期利下げ開始期待を後退させました。

 こうした状況を受けて今回のCPIですが、市場予想は前年比+3.4%、コア前年比+3.6%とともに3月から伸びが鈍化する見込みとなっています。

 内訳のうち、エネルギー価格は今回もしっかりとした伸びになりそうです。
米エネルギー情報局(EIA)のガソリン小売価格は全米全種平均で3月の1ガロン当たり3.542ドルから3.733ドルへ約5.4%上昇しました。 CPIは都市部のみのデータですから、そのままの数字とはなりませんが、CPIでもガソリンはプラス圏が期待されます。

 コア部門では住居費の伸び鈍化がみられるかどうかがポイント。弱めに出ている自動車については、サプライチェーンの混乱収束が進んだことで、ここにきて新車供給が回復してきており、価格鈍化傾向が続くと期待されます。

 市場予想通りもしくはそれ以下の伸びとなった場合、9月までの利下げ開始期待が支えられる形となります。直近では少数派となっている7月FOMCでの利下げ期待まではっきり強まるようだとドル売りが見込まれます。逆に予想を超えてきた場合は年内据え置きの期待が強まり、ドル高となる可能性があります。

 なお、その前日24日に発表される4月の米生産者物価指数(PPI)はCPIの前哨戦として注目されます。市場予想は前年比+2.2%と3月の+2.1%から小幅ながら伸びが強まる見込み。コアPPI前年比の予想は+2.3%とこちらは3月の+2.4%から伸びが鈍化する見込みとなっています。

MINKABUPRESS 山岡和雅

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)