上下に振れる“凪”…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2024/02/28 11:04

◆ 結構“振れた”ように見えたが… - “150円半ば”変わらず


昨日は“上を下へ”と振れたものの、全体として“凪の状態”を脱するには至りませんでした。

まず“22ヶ月ぶりの2%割れ”が想定された「日本CPI・コア」は“強め(+2.0%)”となったことで、“円買い”が先行しました。
この影響から欧州タイム序盤にかけて“150.115円”へと値を落としましたが、“大台割れ”に至ることなく、NYタイム序盤に向けて切り返しました。

一方で「米耐久財受注」は“弱め(△6.1%:2020年4月以降のマイナス幅)”となり、「米消費者信頼感」は“予想を大きく下回り(予想:115.0→結果:106.7)”ました。
このため今度は“ドル売り”が先行する格好となり、“150.065円”へ押し戻されています。
もっとも再び“大台割れ”には至らなかったことで、その後は“巻き戻し”が優勢となり、NYタイム終盤にかけて“150.575円”へと値を戻して昨日の取引を終えています。

◆ “ドル売り”でも“大台割れ”が回避された以上…?


こうして「米インフレ期待」は低下したものの、“ドル売り”は一時的に留まっており、『当面、日米金利格差は高水準で維持される』との思惑が働きやすくなっています。
そうなると“下値の堅さ”が意識されやすく、崩れる展開は想定しづらいところです。
一方で「円買い介入」への警戒感は根強いものがあるだけに、“上値の重さ”を引きずっているのが実状でもあります。
そうなると“下値は堅いが、上値も重い”を地で往く展開とならざるを得ず、現在の“凪”を脱却するには新たな材料が必要と見るのが妥当なところです。

◆ それでも“材料不足”の印象は否めない…!?


本日は10-12月期の「米GDP&コアPCE(共に改定値)」が予定されていますが、今週の注目は「米PCEコアデフレータ(29日)&ISM製造業景況指数(1日)」と見られます。
そうなると引き続き“様子見”となりやすく、“材料不足”の印象は否めないところです。

オーダー状況を見ると、「ドル買いオーダー」が“150.10-00円”で待ち構え、一方で「ドル売りオーダー」は断続的に“150.60-90円”に展開していると聞き及びます。
突破できればまた話は変わってきますが、前記“材料不足”の印象が否めない以上、本日も“凪の状態”と見るべきかもしれません。
もっとも昨日同様、“上を下へ”と振れる展開を想定しながらにはなりますが…。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

152.039(+2σ、大台)
151.952(22/10/21高値、22/11/13高値)
151.778(23/11/14高値)
上値5:151.430(23/11/16高値、ピボットハイブレイクアウト)
上値4:151.060(ピボット2ndレジスタンス、大台)
上値3:150.883(2/13高値《年初来高値》)
上値2:150.784(ピボット1stレジスタンス、+1σ)
上値1:150.701(2/27高値)
前営業日終値:150.507
下値1:150.257(日足・一目均衡表転換線)
下値2:150.148(ピボット1stサポート)
下値3:150.017(2/22安値、2/27安値、大台)
下値4:149.853(2/21安値、ピボット2ndサポート)
下値5:149.682(2/20安値、20日移動平均線)
149.497(2/15安値、ピボットローブレイクアウト)
149.264(2/13安値)
149.000(大台、2/1~2/13の38.2%押し)
148.923(2/12安値)
148.390(2/1~2/13の50%押し、日足・一目均衡表基準線)

《10:40》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想