ユーロ/円、15年ぶりの高値を示現!今後も『買いにくい相場は高い』となるか

著者:津田隆光
投稿:2023/06/16 10:20

足もとはやや速度超過か

ユーロ/円・日足・複合チャート
ユーロ/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「151.520円」で下値サポートされるか否か
【シナリオ①】同レートで下値サポートなら、「155.000円」付近までの上昇も視野
【シナリオ②】同レート割れなら、「148.000円」付近までの下落もあり得そう
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「148.000~155.000円」
【相場格言】『買いにくい相場は高い』、『割高に売りなし、割安に買いなし』


15日のユーロ/円は一時「153.655円」まで上昇。同日の高低差が2円以上となる大陽線が出現し、足もとでは08年9月以来となる高値を示現しています。

上図の各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を上放れる好転となっていること、3) ローソク足の下方に青色雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がりでの推移になりつつある(上図赤色点線丸印)ことから、現在のユーロ/円・日足チャートは上昇トレンド継続を示すチャート形状であると判断します。

他方、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・+2σラインをオーバーシュートする動きとなっていること、そしてⅱ) 青色雲の上辺である先行1スパンとローソク足に乖離が生じていることを念頭に置くと、現在のユーロ/円はやや「速度超過状態」と捉えることもできます。よって、足もとではガス抜き/調整が主体の反省相場(=短期的な下落フロー)となる可能性も視野に入れた方が良いでしょう。


そんな中、足もとにおける注目ポイントは・・・BB・+1σラインをメドとする「151.520円」(上図黄色矢印および黒色線)で下値サポートされるか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて「151.520円」で下値サポートされた場合は、「上昇バンドウォーク継続」→「もう一段の上値トライ」となりそうです。当該ケースでは、「(BB・±2σラインの拡張である)エクスパンションの進展」や「+DI>-DIのさらなる乖離拡大」なども伴いながら、心理的節目である「155.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇も視野に入れるべきでしょう。

[シナリオ②]
一方で、「151.520円」を終値ベースで割り込んだ場合は、「上昇バンドウォーク崩れ」→「一旦の下押し」となる可能性も。当該ケースでは、「(約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す)21日MA(≒150.000円)割れ」や「SARの売りサインへの転換」、また「+DI>-DIの乖離縮小」なども伴いながら、BB・-2σラインをメドとする「148.000円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落もあり得そうです。ただし、現状では青色雲が厚い形状(=強いサポート帯)となっていること、また、200日MAが右肩上がりでの推移となっていることから、下値余地は限定的と見て良さそうです。


上記シナリオ①および②を概括すると、当面※のユーロ/円は「148.000~155.000円」を“主戦場”(コアレンジ)としながら、徐々に上値を切り上げる相場付きとなりそうです。(※ここでの「当面」は、1~2週間のスパンを想定しています。)

足もとでは、日本時間本日正午頃に予定されている日銀金融政策決定会合の結果および同日午後3時30分からの植田日銀総裁会見の内容が、円相場主体でのユーロ/円の相場動意となりそうです。

上空には“真空地帯”も?

ユーロ/円・月足・複合チャート
ユーロ/円・月足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

参考までに、ユーロ/円の月足チャートを見ていきましょう。

ユーロ/円相場につき、月足チャートを用いてより俯瞰的に見てみると、今月(上図黄色矢印)に入り「150.000円」(上図黒色線)を明確に上抜けした中、09年8月に付けた高値レートである「159.620円」まで然したる上値抵抗となり得る水準が見当たらない、言わば“真空地帯”となっています。

仮に、その「159.620円」を上抜けた突破した場合は、同様に同年7月に付けた高値レートである「169.960円」まで上値を切り上げる可能性も、長期的スパンでは視野に入れた方が良いのかもしれません。

当然、そこに至るまでは反省/修正相場の他に、材料次第では「上述した高値レート未達」→「トレンド転換」となる可能性も。


一つ言えることは、相場格言である『買いにくい相場は高い』、『割高に売りなし、割安に買いなし』にもある通り、主観的な値頃感に固執することなく、相場の流れや方向性に粛々と従うというトレード姿勢が奏功するのではないかと考えます。同時に、買いエントリーに際しては、適宜「出口戦略」(ex.ストップロス、トレールストップ等)を準備しておくことが得策と考えます。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想