ユーロ/英ポンド、もう一段の上値切り上げとなるか

著者:津田隆光
投稿:2022/12/23 10:42

英ポンド売り主体でユーロ/英ポンドが上昇!

ユーロ/英ポンド・日足・複合チャート
ユーロ/英ポンド・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「0.88300ポンド」を上抜け突破するか否か
【シナリオ①】同レートを上抜け突破なら、「0.90000ポンド」に向けた上昇も
【シナリオ②】同レートで上値抑制なら、「0.86550ポンド」付近までの下落も想定
【留意点】Xmas休場に伴うボラティリティの上昇


昨日(22日)発表された英国の7-9月期GDP結果が事前予想を下回ったことから、「英国のリセッション(景気後退)懸念の高まり」→「英ポンド売り」フローに伴い、22日のユーロ/英ポンドは一時10月12日以来の高値となる「0.88289ポンド」まで上昇する動きとなりました。

上図の各メルクマールを見てみると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を上放れる“好転”が示現(上図黄色丸印)していること、3) ローソク足の下方に赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がり推移となっている(上図赤色点線丸印)ことから、ユーロ/英ポンド・日足チャートは上昇トレンド序盤を示すチャート形状であると判断します。


喫緊の注目ポイントは・・・直近高安レート(高値:0.92654ポンド[9/26]、安値:0.85464ポンド[12/1])を結ぶFR・38.2%水準および22日高値レートをメドとする「0.88300ポンド」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜け突破するか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて「0.88300ポンド」を終値ベースで上抜け突破した場合は、「FR・38.2%ライン突破」→「もう一段の上値追い」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォークの継続」や「+DI>-DIのさらなる乖離拡大」なども伴いながら、上述した直近高安レートを結ぶFR・50.0%水準、いわゆる半値戻しの水準である「0.90000ポンド」(上図Ⓐ赤色線)に向けた上昇もあり得そうです。

[シナリオ②]
一方で、「0.88300ポンド」付近で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の増大」→「下押し」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォーク崩れ」や「遅行スパンの“好転フェイク(ダマし)”」、また「+DI>-DIの乖離縮小」なども伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAを基準とする「0.86550ポンド」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落も想定すべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、ユーロ/英ポンドにとって「0.88300ポンド」が今後の重要なトレンド分岐点となり得そうです。


最後に・・・
次週26日(月)の株式市場は、欧米各国でクリスマスデーの振替休日による休場。ただし、英国は26日がボクシングデー、27日(火)がクリスマスデーの振替休日による休場となります。よって、今週末から次週はじめにかけては、市場参加者の減少に伴いボラティリティが急上昇する可能性もあるため、十分注意が必要でしょう。

トレードに際してはリスク管理を最優先とし、『休むも相場』を取り入れるのも一案でしょう。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想