出口戦略の「思惑」で荒れる展開も

著者:平野朋之
投稿:2018/07/30 11:55

■今週はイベントが目白押しで神経質な展開を予想

■先週末に米4-6月期GDPが発表され予想通りの展開であったことから、「事実で売る」展開となりました。

やはり、米中貿易戦争に対する懸念が拭えないことが要因であるとみています。そんな中、米とEUでの貿易摩擦緩和に向けた協議で合意したことは一歩前進したように感じます。
しかし、双方は合意の結果、勝利に対して自信を持っていることに対しては何か違和感を感じます。

■更にいえば通商問題に関して今後一年間で段階的に合意を固めるようですが、結果次第では途中で破断する恐れすらあります。
この貿易戦争問題に関してはもともと「米国第一主義」があることを忘れてはならず、結果的に米国が勝利することを目的に仕掛けています。
故に、双方が勝利するなどありえないと思います。そのシワ寄せは経済や相場に必ず表面化してくるので警戒が必要です。


■また、米とEUの動向をみて中国も同じように融和に傾くのか・・というと個人的には「ノー」と思っています。やはり、中国はこの貿易戦争を通じて勝利を掴みたいのはホンネです。話は少々飛躍しますが、あるいみ世界的な覇権争いにもみえます。

それだけ中国はこの貿易戦争を軽視せず、徹底攻勢する構えです。安易に米国とのやり取りを終わらせることは無いとみています。
それ故、相場的には完全なリスクオンに傾かない理由はそこにあるとみています。


■そして、今週は何と言っても市場でも噂されている日銀の金融政策の正常化、柔軟化路線がこの決定会合で持ち上がるのではないかと期待されています。

もし、出口戦略に関するキーワードが出るようであれば、一気にドル円のトレンドも変化することは確実です。

少なくてもトランプ大統領が為替に関して操作しているのではないかとのけん制や日米貿易不均衡是正といったお題もあるだけに、日銀サイドとしても何らかのアクションはあるとみています。
今回、BOE(英中銀)も利上げ予想ですが、ポンドドルの動きにも注目したいです。


■最後にテクニカル面です。

110円台では押し目買いと見られる動きがチャートの下ヒゲを見ればわかります。また、先週木曜日には、注目していた移動平均50日線にタッチしています。今週も下値である移動平均50日線には警戒したいです。

今週はドル円を軸に考えるよりも、追加利上げ予定の英ポンドの動きに注目しています。

ポンドドルも移動平均50日線に接近しているので、もし超えるようであれば、ドル売り優勢の展開からドル円にも影響が出るのではないかとみています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想