今週のドル円は原油動向がカギ、その理由とは?

著者:平野朋之
投稿:2018/05/07 11:53

原油は2014年11月以来、3年半ぶりに70ドルに迫る勢い


いつもお世話になり有難うございます。
トレードタイムです。


■先週は、日本の大型連休やイベントを控えて、レンジの狭い展開が続きました。

週末の雇用統計では、17年半ぶりの低水準となる
失業率(3.9%)をマークしました。

非農業部門の就業者数も予想には到達していないものの、
10万人以上の数値をキープしていることは交換が持てる
材料となりました。

しかし、気がかりなのが平均賃金の低調ぶりです。前月0.1%増、
前年比2.6%増ということで、やはり賃金の低さが課題の
ようにもみえました。

その流れで、米10年もの長期金利も伸び悩みが目立ちました。
ドル円も110円台定着とは行かず、この大台の重さがポイントになりそうです。


■原油高とドルスイスのパリティは、リスクオフの再来を意味するのか・・?

トランプ大統領がここ数週間以内に北朝鮮会談を行う情報は
知ってのとおりです。
世界的にもこの会談で何らかの手がかりが掴め、朝鮮半島緊張も
沈静化する方向と予想しているようです。

確かに、大方の予想になると筆者もみています。

しかし、こればかりは行ってみないと最後までわからないのが事実で、
個人的には、以下の二つの材料が、ポイントになるとみています。

・2014年11月以来の1バレル70ドルに迫る原油高
・パリティ(等価)となったドルスイス

これまでもこの記事で商品市場(資源)を振れたことは
何回もあります。

NY原油先物市場では、2014年11月以来、3年半ぶりの
1バレル70ドルに迫る勢いで上昇しています。

2016年の安値26ドル台から見れば既に価格上昇は
250%強となっています。

今週末に期限が迫るイラン核合意から米国が離脱するのではないか
との見方が優勢となっており、その警戒感が強いようです。

この原油価格の上昇が長期化するようであれば、
米消費者にも影響が出るのは必至で、今後のインフレ状況
にも影響がでるのではないかとみています。

先週末の雇用統計でも賃金上昇が低調なことからも、
今後利上げに踏み切ることで、更に消費者に
圧迫しかねないだけに警戒材料だとみています。


■次に、米ドルが先週末の上昇で、年初来高値になりました。

この米ドル高を一番嫌っているのが、トランプ大統領です。

FRBは金融正常化のもとで、追加利上げを継続している中、
ユーロ圏や英国、そして日本においては未だに正常化の片鱗すら見えず、
金利差を狙ってドル買い優勢になっているのが
この米ドル高の要因になっているのは確かです。

このまま金利差が拡大するようであれば、米ドル高が更に
伸展する恐れもあるので警戒したいです。

もし、この原油高と米ドル高が継続するようであれば、
好調な米経済も一旦、ブレーキが掛かる可能性もあり、
更にはトランプ大統領の保護貿易を含めた口先介入も
注意しなければならないとみています。

となれば、株安からのリスクオフ再来も可能性
としてはあるとみています。


■最後に、ドル円のテクニカル面です。

昨年から続いたダウントレンドに対する半値戻りや110円に
一旦タッチしたことで、達成感が出やすい環境となっています。

また、期間的にも急ピッチで上昇したことによる
一服感が出やすいとみています。

押し目を探る意味合いでも、逆指値の売りを先週末安値(108.64円)
におくイメージです。
ターゲットとしては今回の上昇幅に対するフィボナッチでみています。

38.6%押し ⇒ 107.91円
50.0%押し ⇒ 107.26円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想