雇用統計後のドル円を読む

著者:菊川弘之
投稿:2017/08/07 11:05

戻りは売られやすい時間帯

月ごとの騰落率(2000年~)
強気の雇用統計を受けてドル円は反発。NY金は調整安となっている。今週は複数の連銀総裁講演での追加利上げや資産縮小に関するコメントに反応しそうだ。週前半には、日本・中国・ドイツの貿易収支・経常収支が予定されており、トランプ政権の保護貿易主義が意識されると、ドルの戻りは売られそう。週後半には米生産者物価指数や消費者物価指数が予定されており、数字次第ではアップダウンが予想される。
 一目均衡表では、雲のねじれの時間でトレンドが加速するのか、それとも反転となるのか否かが注目だ。

 2000年以降の月ごとの騰落率を振り返ると、8月は円高ドル安傾向の強い月。雇用統計を受けてドル買いとなったが、月末にかけて戻りを売られやすいかもしれない。さらに、史上最高値を更新しているNYダウも、2000年以降は、8月・9月と修正が入りやすい時間帯となっており、夏に高値を付ければ付けるほど、秋以降の修正が警戒される。
 
 一方、ドルと逆相関のNY金は、8月・9月の陽線確率が高い傾向。北朝鮮に対して、国連安保理で制裁決議が採択された中、8月21日から米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」が始まる。米空母2隻が朝鮮半島沖に展開する予定。北朝鮮は昨年9月9日の建国68周年に5回目の核実験を実施しており、今年もこの記念日に合わせて核実験を強行する可能性もある。8月後半~9月上旬にかけて、地政学リスクが高まりを見せるだろう。トランプ政権の政策期待が大きく後退する中、ドル円は110円割れでの支持感が確認された一方、200日移動平均線水準では、戻り売り圧力が高まりそうだ。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想