欧州から思わぬ伏兵現わる?!

著者:比嘉洋
投稿:2017/06/29 18:58

為替市場のメインテーマは米金融政策

これまで米金融政策の行方に注目が集まっていましたが、今週火曜日より欧州に変化してきています。その口火を切ったのが、ドラギ総裁。ポルトガルで開催されたECBフォーラムで「インフレ抑制は一時的」、「デフレ圧力はリフレ圧力に変った」、「政策の調整はあり得る」と発言。これがタカ派的と受け止められたことから、債券売り(利回り上昇)→ユーロ買いとなり、クロス円が全般的に上昇したことで、ドル円もクロス円の上昇につられる形で112円台へ。
昨日、そのドラギ発言の意図を市場が勘違いしているとの関係筋のコメントがありましたが、今度は、カーニー英中銀総裁からタカ派的な発言が飛び出し、英10年債利回り上昇→ポンド買いがクロス円の買いを誘発する流れとなっています。
カーニー総裁は先週、「利上げは時期尚早」と発言したばかりであっただけに市場は驚いた格好です。このところ各市場間の相関性が無くなっていただけに、今回の金利上昇に伴い通貨高というのは、非常に理にかなっていると思います。

とは言え、この動きは一時的なものになると考えています。現在の為替市場のメインテーマは、米金融政策であると思っているからです。ご存知の通り、米経済指標はマチマチの内容。市場のインフレ鈍化懸念は、なかなか払拭されそうにありません。

そんな中、明日30日FRBが注視しているPCEデータの発表が予定されています。ここ数日、米債利回りは英・欧州債の値動きに連れる形で利回り上昇となっているものの、米独自の要因での値動きではないため、利回り上昇には自ずと限界があるように感じます。
仮に明日のPCEが市場予想の通り、さらに2%から遠のくようであれば、ドル/円に調整の動きが持ち込まれることになるのではないでしょうか。

上記シナリオ通り、ドルに調整が持ち込まれるということであれば、ドルストレート通貨ペアに妙味があると思います。
その中でも豪ドル/米ドル(日足)の標準偏差ボラティリティは「ダブルループ」の形状が出現しており、かなり強い買いトレンドが発生しており、今後の動きに注目しています。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想