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中東リスクに注意

トランプ大統領外遊中の発言にも注意

 ドル円が114円台を付けていた12日(金)の当欄で「ドル高が一服、トランプ大統領のFBI長官解任に対する疑惑など、マーケットのテーマが変わる気配にも注意したい。来週にかけて、一目均衡表の雲が切り下がっており、112円程度の修正はあってもおかしくない形状となっている」と指摘したが、14日(日)に北朝鮮弾道ミサイル発射もあり、地政学リスクや政治ファクターの高まりから、今週は円高ドル安が加速した。4月17日安値~5月11日高値までの上昇に対する61.8%押しを達成。一時110円台前半を付けた後、足元は自律反発で111円台前半に位置している。
 「ロシアゲート疑惑」からトランプ大統領罷免の可能性を一気に織り込むような値動きであったが、現実的には罷免ハードルは高く、今後の特別捜査官の捜査も時間がかかると推測されるため、材料としては一服して、来週は異なるテーマに市場の関心が向くかもしれない。

 まず、19日にイランの大統領選挙。イラン制裁解除の延期が決まるか否かの最終期限(5月17日)に、ジョーンズ米国務次官補代行(中近東担当)が、2015年のイラン核合意に基づく対イラン制裁の解除を当面維持する方針を声明で発表した。一方、イランの弾道ミサイル開発に関する追加制裁も発表。ミサイル開発や人権問題ではイランに厳しい姿勢で臨む姿勢を示した。このことはイランの大統領選挙の投票行動に、少なからず影響を与える事となろう。市場の予想に反して保守強硬派が勝利するなら、週明けは中東リスクに注意だ。

 また、イラン選挙後には、トランプ大統領の中東歴訪が控える。

20~22日:サウジアラビア(湾岸協力会議首脳会談。サルマン国王と会談)
22~23日:イスラエル、パレスチナ自治区(ネタニヤフ首相、アッパス議長と会談)
23~24日:バチカン、イタリア(ローマ法王と会談)
24~25日:ベルギー(NATO,欧州連合(EU)首脳と会談)
25~27日:イタリア・シチリア島(G7首脳会談、関係各国首脳と会談)

 この間のトランプ大統領の様々な発言が、マーケットに波乱を与える可能性もある。イランと断交しているサウジ、イランに対して強硬姿勢のイスラエルでのリップサービス的な発言などが飛び出せば、やはり、中東リスクが浮上するだろう。 

 23日に予算教書、24にはFOMC議事録が予定されているが、「ロシアゲート疑惑」が取り沙汰される中、トランプ大統領の議会運営は困難が予想され、トランプ政策に対する期待感は高まり難い地合いとなろう。6月の利上げ観測も大きくは高まらないと思われ、ドル円は自律反発以上の高値は期待薄か?一目均衡表の雲の上限~転換線水準で上値が抑えられるなら、200日移動平均線の攻防戦となるかもしれない。ただし、5月下旬にかけて雲の厚みが増す時間帯に入り、雲の中で日柄を経過して、6月に控える雲のねじれでの放れ待ちに移行するシナリオもあり得るだろう。

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菊川弘之 (きくかわひろゆき)

日産証券調査部 主席アナリスト