戻り売り優勢の中、ゴールド、IMM日本円のポジションにも動きが  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/02/06 11:23

日米首脳会談でレンジはワイドに

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■先週末は、注目された雇用統計が発表され、強弱まちまちとなりました。非農業部門就業者数が予想を上回ったものの、平均自給の伸びが鈍化したことを受けて、インフレが加速していないことが明らかになりました。これを受けて早期追加利上げは後退したことを受けて112円ミドルを割り込む場面もありました。

さて、先週はトランプ大統領の中国・日本に対する「トランプ節」、通貨安誘導政策をとってきたとしてけん制し、更にナバロ委員長もユーロ通貨に対する過小評価を口にしたことで市場に対するインパクトも大きくなりつつあります。



■市場は、トランポノミクスに期待し、将来的な財政赤字を見込んで長期金利の先高見通しが先行してきたものの、ここに来て保護主義が完全に加熱するラリーに冷や水を当てた格好になっています。トランプ政権が口先介入でドル高にブレーキをかける一方、政策としてはドル高を招くとなると、市場の不透明・不確実性は日増しに強くなるのではないかとみています。


■その意味では、この「不透明・不確実性」をあらわすバロメーターがゴールドです。昨年末の安値から約100ドル近い上昇になっています。この金利の生まないゴールドが上昇することは、「不確実性の高まり」を意味しているのではないかとみています。

通常、米金利が上昇しているのでドルが買われやすい環境であることは否定するまでもなく、現状としてはやはり「不確実性」が市場を支配しているとみています。更に、ゴールドのETF残高も下げ止まりをみせつつあり、先週だけで12トン強の残高が増えたこともドルの上値を抑える要因になっています。


■また、シカゴIMM日本円のポジションにも動きが出始めています。
大口投機玉のネットが8,509枚縮小し、58,331枚となっています。
部分的にみれば円の買い玉が増えていることが目立ちます。今週の動き次第では、円のショートポジションも一旦、踏まさざるを得ない可能性もありそうです。未だに円ショートが5万枚以上あるので押し目買いも慎重にならざるを得なくなりそうです・・


一方、日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和に関しては、ドルのボラティリティ上昇や米国からの口先介入でコントロールしづらくなる可能性も否めないとみています。現状は正当性を主張するものの、「不透明・不確実性」が増す中ではやはり、円上昇圧力も強まり、日銀が国際買い入れの増額に迫られる場合、最終的には国債不足といった問題になる可能性も否めません。


■最後にドル円です。

チャートは、先月半ばから作っている持ち合いレンジも序所に右肩下がりになりつつあります。先週何度か112円割れにトライしているものの抜けきれず、何とか112円台をキープしている感じです。しかし、先日の下ヒゲ、そして週末の下寄りを見れば、下方向に行きたがっているように見えます。

レンジ的には110.50円~115.00円とワイドに設定しておきたいです。

今週もトランプ・ナバロ砲に警戒し、混乱続く米大統領令の行方で市場のボラティリティは拡大するのでリスク管理は更に強める必要はありそうです。


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平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想