米大統領就任控え上値重い、強まる円高警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2017/01/13 19:34

来週の株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、20日のトランプ次期米大統領の就任を前にして、外国為替市場で思惑的な売買による波乱展開も予想されるため、上値の重い下値固めの推移となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万8900~1万9600円とする。

 市場関係者からは「今週は、トランプ氏の発言に伴って円高・ドル安が進行する懸念が現実のものとなり、一時1ドル=113円台後半まで円が買われる場面もあった。来週もこうした動きを念頭に置きながらの神経質な投資姿勢を強いられそうだ。ただ、20日の就任演説で、減税やインフラ投資など経済政策への言及があれば、米長期金利上昇に伴う円安・ドル高進行で、日経平均株価が上昇軌道に復帰する可能性もある」との見方が出ていた。

 外国為替市場で、年初に一時1ドル=118円台まで進行した円安が、もし1ドル=110円を超える円高推移となった場合、今月下旬から本格化する17年3月期決算発表時の通期業績見通しや、アナリストによる18年3月期業績予想が保守的となり、株価にマイナス影響を与えることになりそうだ。

 日程面では、日銀黒田総裁が支店長会議であいさつ、11月の機械受注、12月の国内企業物価指数、11月の第3次産業活動指数(16日)、16年12月と同年年間の訪日外国人数(17日)、12月の首都圏新規マンション発売(19日)、12月のコンビニエンスストア売上高(20日)に注目。

 海外では、国際通貨基金(IMF)世界経済見通し、マーティン・ルーサー・キング牧師生誕祭の祝日で米株式市場は休場(16日)、世界経済フォーラム(ダボス会議・17~20日)、米12月の消費者物価指数・鉱工業生産・設備稼働率(18日)、ECB定例理事会(ドラギ総裁会見)、米12月の住宅着工件数(19日)、第45代米大統領就任式、中国10~12月期のGDP、中国12月の鉱工業生産・小売売上高・都市部固定資産投資(20日)が焦点となる。

<動意株>=サイバーステップ、S FOODS、エボラブルアジアなど

 サイバーステップ<3810>=ストップ高。
同社はきょう、対戦アクションゲーム「ゲットアンプド モバイル」の公式サイトを公開。今年のリリースを予定しており、期待感が先行するかたちとなっているようだ。このゲームは2001年に国内でサービスを開始したPCオンラインゲーム「ゲットアンプド」のモバイル版。「ゲットアンプド」は世界13カ国地域でサービス提供され、累計3000万人を超えるプレイヤーに楽しまれた実績がある。また同時に、クイズRPG「Q&Q アンサーズ」の公式サイトもオープン。リリースは今年夏を予定している。

 S FOODS<2292>=昨年来高値を更新。
同社は12日取引終了後に、17年2月期第3四半期累計(16年3~11月)の連結決算を発表。営業利益は75億5200万円(前年同期比27.1%増)となり、通期計画96億円に対する進捗率は78.7%に達した。売上高は2072億7000万円(同15.4%増)で着地。「ゆめの大地」や「AURORA ASNGUS BEEF」など食肉ブランドの販売強化に努め、主力の「食肉等の製造・卸売」事業の売上高が1837億100万円(同18.2%増)と伸長したことなどが寄与した。なお、通期業績予想は従来計画を据え置いている。

 エボラブルアジア<6191>=大幅高で新値追い。
同社は12日、銀行11行と総額25億円の当座貸越契約(ないしコミットメントライン契約)を結んだと発表。財務基盤の強化につながるとして評価されているようだ。同社では今回の契約で投資余力が約50億円になったとしており、この資金を目標としている取扱高1000億円を目指すための戦略的な大型M&Aなどの資金に投資するとしている。

 セブン&アイ・ホールディングス<3382>=急反発。
同社が12日の取引終了後に発表した第3四半期累計(16年3~11月)連結決算が、売上高4兆2889億2900万円(前年同期比5.0%減)、営業利益2740億600万円(同5.0%増)、純利益755億3800万円(同39.8%減)と営業増益となったことが好感されている。北米のコンビニエンスストア事業でガソリン売り上げが減少したことや、円高による目減りなどがあり、売上高は減収となった。ただ、主力の国内コンビニ事業が既存店売上高の伸長と粗利率の改善で増益となったことに加えて、イトーヨーカ堂などスーパーストア事業も値引きの見直しなどで採算が改善し利益を押し上げた。また、セブン銀行など金融関連事業も好調に推移した。なお、スーパーストア事業や百貨店事業の減損損失などが膨らんだことで、純利益は大幅減益を余儀なくされた。

 山王<3441>=ストップ高で昨年来高値更新。
同社は12日、東京工業大学との共同出願で水素エネルギー関連の特許を取得したと発表。これが材料視されているようだ。特許を取得したのは、東京工業大学と共同で研究・開発を行い発明した「金属複合水素透過膜とその製造方法」。この技術を用いた水素製造・水素精製プロセスは従来のものに比べ、効率よく安価な水素を提供することが可能になる。

 さくらインターネット<3778>=ストップ高。
12日の取引終了後、産業技術総合研究所(産総研)と「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」を共同研究する先端素材高速開発技術研究組合(Hi-Mat)のスーパーコンピューターシステムに同社の高火力コンピューティング基盤が採用されたと発表しており、これを好感した買いが入っている。同プロジェクトは、材料開発と計算科学の融合・連携によって革新的機能性材料の創成・開発の加速化実現を目的としたもの。今回の受注の契約金額は5年間の総額で約21億円となり、4月1日からの提供開始を予定している。なお、同件が17年3月期業績に与える影響は軽微としている。

※未確認情報が含まれる場合があります。株式の売買は自己責任に基づいて、ご自身でご判断ください。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想