不動産株の上昇は、アベノミクス始動時も。

著者:小野山功
投稿:2016/10/21 19:20

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【米大統領選も影響】潮目は変わったか?年末に向けて18000円台も

日経平均株価は20日までに5営業日続伸し、4月27日以来、およそ半年ぶりの水準を回復しました。

20日の東証1部の売買代金は、9月30日以来の2兆円台乗せ。商いを伴って上昇したことから、相場の潮目は変わったとの声も聞かれます。

■アベノミクス始動時を彷彿とさせる「不動産株」

米大統領選の一般投票まで3週間を切りました。日本時間の20日に最後のテレビ討論会が終了し、ここからの形勢逆転は無理だとして、マーケットではすでにクリントン氏勝利を織り込む動きとなっています。

この日に特に上昇が際立ったのが、不動産株です。(8801)三井不(8830)住友不など、主力どころが上げ幅を一時5%程に広げる堅調ぶりでした。

アベノミクス始動時に、外国人投資家のマネーが真っ先に向かったが不動産株でした。米大統領選の情勢が大方固まったことで、11月8日の選挙結果を待たずして、海外勢が日本株に資金を投じ始めた可能性があります。

■決算発表も「市場ムード改善」に寄与

3月期としては先陣を切って20日に決算発表した(6506)安川電機が買われたことも、市場ムード改善に寄与した格好です。

安川電機の4~9月期の営業利益は138億円(前年比27%減)と、大幅減益での着地。ただ、計画からは2割超上振れたことで、株価は決算翌日の21日におよそ9か月ぶりの年初来高値更新となりました。

一方、10月に入って大きく下がることがなかったこともあり、日銀によるETF買い入れは今月まだ1度しか実施されていません。(企業支援のETFを除く)

1回当たり700億円程度の枠を広げない限り、月内あと6営業日すべてETF買いが入ったとしても、月5000億円の枠内に収まります。来週は、前場でわずかでもTOPIXが下落すれば、ETF買入れへの期待が支えになり、大きく相場が崩れる心配は低いとみています。

来週は24日の(6594)日本電産、26日の(7974)任天堂、28日の(6301)コマツなど3月期企業の決算発表が本格化します。円高による減益はやむなしとして、買いが続くようであれば、1月以来となる日経平均18000円台奪還も視野に入るのではないでしょうか。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想