新たな上昇局面迎へ堅調、4~9月期決算発表を注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/10/21 18:48

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、発表が本格化する17年3月期第2四半期累計決算の内容と下期業績見通しを吟味しながらも堅調な推移が予想される。日経平均株価は、5月31日高値の1万7251円を上回り、新たな上昇局面を迎えており、堅調な値運びとなりそうだ。来週の想定レンジは1万6900~1万7500円とする。

 市場関係者からは「輸出関連企業を中心に、4~9月期決算の内容を背景に17年3月期通期業績見通しを下方修正するケースが目立つことが予想されるものの、アナリストなどの市場関係者のあいだでは“既に織り込み済”との認識が強まっており、株価への売りインパクトは徐々に軽減されそうだ」との見方が出ていた。

 懸念材料としては、円相場があるが1ドル=104円近辺での推移であれば大きなマイナス要因とはなりそうもない。また、需給面では、25日のJR九州<9142>の上場後に、それまでの全般相場に対する買い支え的な動きが一巡するのではとの指摘も出ている。

21日の動意株

 神栄<3004>=急伸し5連騰。
同社は20日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(4~9月)連結業績について、売上高が従来予想の237億円から235億6800万円(前年同期比12.0%増)へ下振れた一方、営業利益は2億5000万円から3億9900万円(同3.1倍)へ、純利益は1億円から1億3800万円(同7.3倍)へ上振れたようだと発表しており、これを好感した買いが入っている。電子関連分野で中国向け空気清浄機用途のホコリセンサの受注が堅調だったことに加えて、食品関連で冷凍食品分野が順調に推移したことが利益に貢献したという。

 アエリア<3758>=後場に入って一段高。
同社子会社のリベル・エンタテインメントが来年1月の配信を目指して開発しているイケメン役者育成ゲーム「A3!(エースリー)」の事前登録開始期待が高まっているもよう。同社はきょう、恋愛リズムアドベンチャー「アイ★チュウ」と「A3!」の2タイトル共同によるピールオフ広告(缶バッチ無料配布)を実施すると発表。会社側では、19日に90万ダウンロードを突破した「アイ★チュウ」とコラボすることで、「A3!」の事前登録に対する認知度を向上させることが目的としている。

 ケル<6919>=大幅高。
同社は20日の取引終了後、17年3月期の第2四半期累計(4~9月)連結業績予想の修正を発表。売上高を45億円から45億6000万円(前年同期比7.9%減)へ、営業利益を2億4000万円から3億2500万円(同41.1%減)へ、純利益を1億6000万円から2億5000万円(同28.8%減)へ上方修正、これを好感した。注力市場の受注が堅調に推移、製造経費・販売経費の節減も寄与している。

 ユビテック<6662>=ストップ高で新値追い。
同社は20日、10月26~28日にかけて幕張メッセで開催されるIoT展に、ホシデン<6804>と協力して出展すると発表。これを機にIoT関連として関心が高まっているようだ。両社は最新のセンサー搭載IoTシステムを出展予定。具体的には、ビーコンによる位置検知システムや、MEDiTAG(リストバンドタグ)による位置検知および健康監視、OBD(自動車の自己診断機能)端末とMEDiTAGによる車両動態管理およびドライバーの健康チェックなどとなる。

 平和不動産<8803>=大幅高。
ここにきて不動産株が底値離脱の動きをみせ、その流れに乗る動きだが、大阪・北浜などビルの賃料収入の拡大を背景に業績も好調で、17年3月期は増収増益を確保する見通し。また、東京では兜町・茅場町再開発の動きが同社の株価を強く刺激している。フィンテック分野に展開する企業向けの交流拠点を兜町で計画、来月には同社が中心メンバーとなって一般社団法人を設立し、環境整備を進めるとともに関連企業を誘致し育成を図っていく方針にある。

 テリロジー<3356>=ストップ高。
同社はこの日、カナダのWedge Networksと国内販売代理店契約を締結、加えて米国Tempered Networksと国内独占販売契約を締結したことをそれぞれ発表、これを好感した。Wedge Networks社との契約により、サービス事業者向けクラウドUTMプラットフォームと法人向けAI搭載の独自特許技術による統合セキュリティーアプライアンスを販売。一方、米国Tempered Networksとの契約により、既存ネットワークから隔離・隠蔽するステルスネットワークを実現する製品を販売する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想