“上昇一服”濃厚も、“大きく崩れる”は期待薄…!?

著者:武市佳史
投稿:2016/10/21 10:53

◆ドラギ発言で乱高下 ⇒ 次第にドル全面高

※ご注意:予想期間は10月22日と表示されていますが、本日(10月21日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


リスク選好ムードが優勢となる中、昨日はユーロ主導でドルが大きく揺れ動きました。
注目のECB理事会は予想通り“据え置き”となったものの、その後に行われたドラギECB総裁の記者会見でユーロドルを先導役に“乱高下”したからです



まず「QE(量的緩和)延長の議論はなかった」発言で、ユーロドルは1.10ドル半ばへと駆け上がりました(ユーロ買い/ドル売り)。
しかし「QE縮小議論もなかった」発言で一変し、「QEを突然終了する可能性は低い」発言で1.09ドル前半へと突き落とされました(ユーロ売り/ドル買い

)。
米中古住宅販売件数が強く(547万件/+3.2%)、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が事前予想を上回った(9.7)ことも、米年内利上げ観測となって

ドルを支えました。
こうして前日の103円前半からジリジリと水準を切り上げてきたドル円は、ドルは全面高の様相を見せました。
NYタイム序盤に104円ラインに到達すると、そのまま高値圏で昨日の取引を終えています。

◆ドル買い/円売りシグナルが再点灯

昨日も記したように、日足・一目均衡表先行スパンの雲を再び抜け出したことで“ドル買い/円売りシグナルが再点灯”しています。
しかも一度押した格好になることから、“前回よりも強力”になっている可能性を秘めています。

◆“上値追い”簡単ではないが、さらなる“ユーロ売り”が支援…?

もちろん104円台には国内輸出筋と見られるドル売りオーダーが待ち構えていますので、上値追いはそう簡単ではありません。
また週末でもありますので、“株高の連鎖が鈍る可能性”も否定できないところです。
しかし昨日のドラギ発言をキッカケに下落しているユーロドルは、“6/24安値(1.09102ドル)”を割り込むと“3/10安値(1.08204ドル)”まで明確な

支持ラインがチャート上で不在となります。
このためユーロ売りにさらに拍車がかかる可能性が残り、ドルがさらに押し上げる展開も期待されるところです。

“リスク選好姿勢一服⇒上値が重い”を想定するのが自然ですが、それでも“大きく崩れるは期待薄”…。
“高いところを付いていく”は控えたいところですが、“押し目買い”は継続と見たいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:104.467(10/14高値)
上値4:104.364(10/17高値)
上値3:104.252(ピボット1stレジスタンス)
上値2:104.188(10/18高値)
上値1:104.092(10/20高値)
前営業日終値:103.954
下値1:103.886(日足・一目均衡表転換線)
下値2:103.731(10/19~10/20の38.2%押し)
下値3:103.619(10/19~10/20の50%押し)
下値4:103.507(10/19~10/20の61.8%押し、日足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stサポート)
下値5:103.337(10/20安値、10/19~10/20の76.4%押し)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:11 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想