25日線割れで売り優勢に、米大統領候補のテレビ討論会を注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/09/26 18:40

明日の東京株式市場見通し

 27日の東京株式市場は、26日に日経平均株価が25日移動平均線(1万6718円=26日終値)を割り込んだことや、外国為替市場での円高進行懸念などから先安ムードが強まり、売り優勢となりそうだ。

 現地26日夜(日本時間27日午前)に開催される米大統領候補の第1回テレビ討論会の内容と、その後の支持率の変化によって、日経平均株価に影響を与えることになりそうだ。市場関係者からは「テレビ討論会の結果、もしトランプ氏が優勢となった場合には、政治的リスクを警戒して、日米ともに株価が下落する可能性がある」との見方が出ていた。

 26日の東京株式市場は、前週末の米国株市場が軟調だったことに加え、原油安、円高の流れを嫌気して売りに押される展開。日経平均株価終値は、前週末比209円46銭安の1万6544円56銭と続落した。東証1部の売買代金は、1兆6944億円の薄商いとなった。

26日の動意株

 小野薬品工業<4528>=大幅続伸。
ノーベル賞候補関連銘柄として再度、物色人気が高まっている様子だ。米調査会社「トムソン・ロイター」は今年のノーベル賞の有力候補者予測を発表し、そのなかに生理学・医学賞では京都大客員教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)氏の名前を挙げた。本庶氏は、免疫細胞の働きを抑制する作用のある分子「PD-1」を発見。小野薬の「オプジーボ」は「抗PD-1抗体」を活用したがん免疫治療薬であり、同薬の創薬に本庶氏は多大な貢献を果たした。生理学・医学賞の発表は10月3日の予定。株価は3000円台奪回への期待が膨らんでいる。

 エンカレッジ・テクノロ<3682>=後場一段高。
同社は午後1時ごろ、電算<3640>と自治体など公共機関向け事業で協業することで合意したと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。現在、全ての自治体では、「強靭性向上モデル」といわれるサイバー攻撃への抜本的対策の実現に向けた対応を迫られているが、両社は共同で最適なファイル無害化ソリューションを提供し、各自治体の強靭性向上モデルへの対応を支援することを目指すという。

 アキュセラ<4589>=一時ストップ高。
ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」は臨床第2b/3相試験で有効性が示されず、株価は5月末に暴落したが、同時にSBIグループが大量の買いを入れ、保有株比率は30%を超す大株主となっている。足もとでは、バイオ関連株に見直し買いが流入しているほか、9月末の中間期末が接近しSBIグループにとってアキュセラは上げ賛成の状態にあるだけに、市場には株高思惑が膨らんでいる様子だ。

 ニチレイ<2871>=大幅高で4日続伸。
大和証券は23日、同社株のレーティングを「3(中立)」から「2(アウトパフォーム)」へ引き上げた。目標株価は900円から1300円に見直した。第1四半期(4~6月)の連結営業利益は74億円(前年同期比67%増)と予想を上回る伸びとなった。冷凍チャーハンを中心に家庭用調理食品の販売が好調だったほか、海外事業の収益改善が寄与した。1円の円高が営業利益を4億円程度押し上げる円高メリット銘柄であることも注目されている。同証券では17年3月期の連結営業利益は前期比23%増の265億円(会社予想217億円)と大幅な増額修正を予想。18年3月期は同290億円への連続増益を見込んでいる。

 六甲バター<2266>=大幅上昇で8日続伸。
上場来高値を連日更新と異彩の上昇。同社は消費者から高水準の需要があるベビーチーズの最大手、年末に向けて需要の盛り上がりが期待されるチーズ関連銘柄として投機資金の攻勢が続いている。一部調査機関によると2015年度のチーズ市場は数量ベースで前期比7.5%増と拡大が顕著となっており、2016年度以降も拡大が期待される状況、同社への追い風は強い。一方、株式需給面では信用買い残が枯れた状態で信用倍率は0.27倍と売り長であり、青空圏で戻り売り圧力がないことも強みとなっている。

 エージーピー<9377>=ストップ高。
同社は26日の取引終了後、丸紅<8002>傘下の丸紅新電力と業務提携を行うことを発表、これを好感する動き。エージーピーは羽田・成田をはじめとする国内主要空港で航空機への動力供給や施設・設備の保守メンテナンスなどを行っているが今回、丸紅新電力と小売電気事業に関し、電力卸供給と需給管理業務契約を締結。これにより、個人・法人を問わず、空港内外の顧客に対して、小売電気事業の展開を行うもの。東京電力管内や関西電力管内、中部電力管内、九州電力管内、北海道電力管内、東北電力管内を供給可能エリアとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想