「米利上げペースの鈍化」で、戻り売り有利な展開続く

著者:平野朋之
投稿:2016/09/26 11:24

コモディティ市場をみても、ドル売り要因


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■先週末は、イベント通過後と特に注目する材料もなかったことが理由で、101円を挟んだ展開となりました。
唯一、材料として挙げるならば今回のFOMCで利上げ見送りに反対票を投じたボストン連銀のローゼングレン総裁がホームページ内でタカ派とみられる発言をしていることが材料視され、ややドルを買い戻す動きが強かったという印象です。

■日米の金融政策イベントからも、大きくトレンドを変化させるものではなく、むしろ年初から続くダウントレンドを継続させる材料となったとみています。

まず、日銀の新たな枠組みとされる「量→金利」、そしてイールドカーブのコントロールとを軸に緩和強化というものの、異次元を期待した市場の予想を見事に裏切ったようにみえます。むしろ、緩和トーンが一段下がったように感じます。

そして、FRBは据え置きを決定し、更にメンバーの金利予測(ドット・チャート)中央値は、長期にわたって大幅に引き下げらたことで、当初の年複数回の利上げ予定を大幅に変更したことは否めません。その意味では、今までの追加利上げに対する意識が若干、下がったように感じます。「利上げペースの鈍化=ドル売り」を想定した相場観を構築したいと考えています。


■一方、コモディティにも注目しています。

金価格は1オンス1,300ドルが底堅く、またETF残高も全く減少していません。むしろイベント後の残高は急上昇しているくらいです。
金利の生まないこのゴールドがここまで高値をキープしているのは、やはり世界的に「無制限の金融緩和」を行っているからだとみています。その点を考慮すれば通貨や資産がいずれ崩壊することを意味するので、やはりゴールドは根強い人気があるとみています。

となれば、原油価格もゴールドと同様に上昇するのか‥?
というとそうではなく、経済が停滞する中でのインフレーションを招く、「スタグフレーション」をイメージするので、逆に原油価格は低迷する可能性があるとみています。

上記の世界的な最悪の減少を避けるべく、米国の金融正常化は無くてはならない貴重な金融政策であるとみています。
つまり、米国の金融政策の舵取り次第で、世界経済も一気にリスクにさらされる可能性もあるからです。

・米国→金融正常化(世界経済に配慮した超スローな利上げ)
・世界→金融緩和(限界を超えた無制限緩和)

上記二つがうまく作用して世界経済に対するバランスが取れているとみています。

もし、米国が一歩でも金融緩和に寄るようなことがあれば、金価格急騰はもちろん、世界的にスタグフレーションが騒がれだす可能性があるとみています。


■現在の相場は、昨今の世界経済を配慮した相場展開になっています。特にドル円に関しては、緩やかな円高ドル安基調なだけに、この先は90円台を想定したトレードを頭に入れてトレードしたいと考えています。

■本日は、東京タイムで日本の臨時国会が召集されることから、政策期待が高まりドル円も歩調を合わせた戻り相場を想定しています。その点を考慮してしっかりと戻りポイントを把握しておきたいです。

戻りポイント4時間足ベース
・ボリンジャーバンド+1σ…101.50円
・ボリンジャーバンド+2σ…102.00円

戻りポイント日足ベース
・ボリンジャーバンド-1σ…101.40円

最後に、本コンテンツでも書かせていただいていますが、ドル円日足チャートでは、今年のパターンとして、移動平均75日線をタッチすると下落する形になっています。

先週、21日(木)も高値(102.81円)で移動平均75日線(102.98円)はかなり接近しました。その後はしっかりと陰線をつけ、その後下げています。日足チャートの移動平均75日線を確認することをが大切です。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想