マスメディアの報道で揺れる日銀への思惑

著者:川島寛貴
投稿:2016/09/14 16:17

本命日経新聞の登場

昨日も為替相場はヘッドラインで大きく動きました。

欧州時間に101円台後半だったドル円は、日経新聞の『財務省、40年債の増発を正式決定』との報道により102円台へ上昇。
ストップロスを誘発しながら、102.40円まで上昇しました。
このニュースは先に英語で流れたこともあり、しっかりとした上昇に繋がりました。当初は年2.4兆円と計画されていた発行額を2.8兆円に増やし、9月以降の奇数月の入札で1000億円ずつ積み増すという。

もともと101円台後半では日本の年金や米国勢がドル買いを進めていたようで、このニュースが流れたくとも102円への回復は時間の問題だったように思えます。

そして、ポジション調整が進んで一服した深夜2時過ぎ、日経電子版がにて『日銀、緩和拡大はマイナス金利軸に総括検証』と流れ再び円売りが加速。
個人的には、9月は検証結果の報告会の様なものであり、とても何かを発表するとは思えないのですが、以前より海外勢は9月はなにかするのではないかと考えているようです。

そもそも、9月5日に行われたきさらぎ会における黒田総裁の講演(日銀より議事録も公表)でも「マイナス金利の導入はデメリットよりメリットの方が大きかった」と述べており、そこでも今後のマイナス金利幅の拡大の可能性が示唆されていました。
昨晩改めて日経が報じたことにより、さらなる金融緩和(マイナス金利幅拡大)への思惑が本格的に台頭してきたのでしょう。
さすが日本を代表する経済メディアといったところです。

そして、米国10年債利回りが1.70%を突破し1.734%と3カ月ぶりの水準まで上昇したこともドル円の上昇を後押ししました。
このタイミングで10年債利回りが急騰するのは疑問なところもありますが、円売り材料に加えてドル買いの流れも出てくるとドル円は買っていくしかありません。

対ドルでは、豪ドルがひとつだけ上昇していますので、取引するなら通貨ペアは豪ドル円が一番上昇率がありそうです。

101円台からの調整幅はわずか30銭

さて、チャート的にも金曜日の高値である103円前半を突破してきましたので、次は雇用統計後の高値である104.30円となりますが、ここまでいくにはさすがにエネルギー不足。ブレイナード氏の発言への思惑もありましたので、それが剥落した今は10年債利回りが上昇してきたといっても今日のところは月曜日の戻り高値である103.80円まででしょうか。

チャートを見てみると、ストップロスを少しづつ付けながら調整幅は30銭程度と強さをみせて上昇中。かなり強い値動きですが、急騰したところは全てヘッドラインによるもの。
にわかショートもまだまだ切れていないであるために、一度大きく急騰した際には全てのショートポジションが切れると想定。そこでは一旦大きめの反落がありそうです。

そう考えると、今夜の高値は103.80円当たりとみて、103円後半まで買いで攻めて売り転換。103円前半で買戻しというところでしょうか。

今後のヘッドラインリスクですが、日経の記事と某ニュースベンダーのH記者の記事(日銀は総括的な検証で長期国債の買い入れ年限の柔軟化を検討している。9/13:17時ごろ)も出揃ったことで、これから大きな材料が出てくることは当局者以外はなかなかないとみています。
そうなると、今度は買い方の利食いのターンに入りますので、103円台後半まで上昇したらさすがに利食いが出てきそうです。

欧州入りでもまだまだ利食いの兆候が見えてきませんので、じっくりと上値追いをしていきたいところです。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想