過去の9月相場を振り返る

著者:川島寛貴
投稿:2016/09/06 12:18

9月為替相場アノマリー

ドル円は100円割れで底を打ち上昇。
日経平均株価は、3ヵ月ぶりの17,000円に回復と秋相場は好調にスタートしました。

今週の為替相場は、材料も乏しく雇用統計を終えて利食い優勢となりそうなため、ここで過去の9月相場を振り返っておきましょう。

為替相場はトレンドが出やすい時期がありますが、9月10月相場がまさにそうです。
春相場、夏相場という言葉があまり聞かないなか、秋相場という言葉があるのもそのためではないしょうか。

さて、ドル円相場を見てみると、過去20年間で13回同じ方向に動いています。
直近では、2015年に102円から110円まで上昇した円安相場が印象にあるのではないでしょうか。

株式市場の方も見てみると、なんとこちらは最悪の月となっていました。

NYダウの過去100年以上の株価をみてみると、なんと9月だけが月間平均でマイナスとなるそうです。
そして、先進国20ヶ国で過去36年間でも、同様に9月はほとんんど国で株価がマイナスとなります。
ちなみに、米国で最初の大暴落が発生した1929年のブラックサーズデイは10月ですが、最高値を付けたのは9月3日。

この理由を探すとすれば、投資信託やヘッジファンドの決算が近いことが挙げられます。米国の投資信託は10月決算が多く、損益通算や顧客の解約に備えて9月頃から徐々に売り物が増えるといわれています。
いわゆる「ヘッジファンドの45日ルール」というやつですね。

これが正しいのか否か不明ですが、とにかく9月、10月は下がる月というアノマリーがあります。

■セプテンバー・サプライズ

もう少し考えてみましょう。
そもそも、サマーラリーと呼ばれる夏枯れ相場の反動で、レンジブレイクが起きて相場が勢いづくということが考えられます。

また、9月から10月にかけてG20などの重要な国際会議が行われたり、FOMCの会見のある月であったりと材料が事欠かないつきであることも一因でしょう。

そして、9月、10月は大統領選の最後の追い込みの月となっています。
選挙に影響を与える事柄が起こった際には、『セプテンバー・サプライズ』といわれます。

秋から初冬にかけてはハリケーンがアメリカに上陸する時期でもあり、これがドルを大きく左右する季節的要因となります。

日本に目を向けると、年末選挙が多いことから考えると、だいたい秋頃から入るにつれ政局不安が起きており年末解散という流れがあり、これが日経平均の下落にも寄与していそうです。
中国では、国慶節明けに相場が大きく動きますので、そのことも相場を大きく動かす影響がありそうです。

ちなみに為替ではないですが、2014年に原油相場が大暴落した初動も9月でしたね。

■ヤバすぎる9月に起きた歴史的大相場

具体的に、9月にどのような歴史的大相場が発生したのかを見ておきましょう。

世界的に有名な投資家、ジョージ・ソロス氏が英ポンドを売りまくってイングランド銀行を潰したのは92年9月16日。
ドル円が歴史的に一番動いた相場は98年のLTCMショックで10月7、8日に2日で20円です。
しかし、ニューヨーク連銀が同社の破綻を前提に銀行側に対して救済策を要請し、事実上破綻が確定したのは9月18日。

世界を震撼させた貿易センタービルに航空機が突入したテロは2001年9月11日。
そして、あの歴史的な金融ショックであるリーマンショックは2008年9月15日。
スイス中央銀行がスイス高抑制の為に無制限介入を発表したのは2011年9月11日。
これが後に、過去最高のスピードで最大に先進国の為替相場が動いたスイスフランショックへと繋がりました。

日本株では、2015年のチャイナショックの余波で乱高下し、日経平均は歴史的記録(1日1,343円の上昇:歴代6位)を残したりもしています。

歴史的な急落が発生しやすい月、それが9月なのです

大相場が発生する=利益を得られるチャンス、ですから、数年に一度の9月相場でガッツリ稼ぎたいところですね。

余談ではありますが、太平洋戦争敗戦直後の1945年9月。軍用交換相場は1ドル15円と設定されましたが、それ以前のドル円は1ドル4円ほどだったそうですので、敗戦によりなんと約4倍に急騰。これもまた9月なのですね。

その後は、1947年3月に1ドル50円、1948年7月に1ドル270円(ここがドル円上場最大の値動き?)、1949年には1ドル360円と強烈なまでに円安が進みました。

■9月ドル円データ

最後に、過去10年間のドル円相場のデータを掲載しておきます。

2006年・・・117.36円 ⇒ 118.13円   +87銭
2007年・・・115.76円 ⇒ 114.80円   -96銭
2008年・・・108.77円 ⇒ 106.08円 -2円69銭
2009年・・・ 93.13円  ⇒  89.71円 -2円42銭
2010年・・・ 84.18円 ⇒  83.50円   -68銭
2011年・・・ 76.64円 ⇒  77.06円   +42銭
2012年・・・ 78.32円 ⇒  78.00円   -32銭
2013年・・・ 98.33円 ⇒  98.21円   -12銭
2014年・・・104.14円 ⇒ 109.63円  5円49銭
2015年・・・121.20円 ⇒ 119.87円  1円33銭

※15:27|出来事を追加。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想