手控え姿勢のなか戻り売り優勢、円高再燃に警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/26 20:12

明日の東京株式市場見通し

 27日の東京株式市場は、外国為替市場での円高・ドル安進行や政府の経済対策への期待感後退などから売り優勢の推移となりそうだ。28~29日に開催される日銀の金融政策決定会合を前にして手控え姿勢が強まるなか、前週までの2週間で大幅上昇をみせた過熱感が、投資家の戻り売り姿勢を誘発している。

 市場関係者からは「このところ、1ドル=105~106円台の水準で定着しはじめたかに見えた円相場が、きょう1ドル=104円前後まで円高方向に進行しはじめたことが、今後の株価推移に不安感を与えている。ちょうど4~6月期の決算発表が本格化してる時期だけに、業績見通しの面でもマイナス影響が増幅されそうだ」としている。

 26日の東京株式市場は、前日の米国株安や原油安、取引時間中の円高進行などを嫌気して日経平均株価は続急落となり、一時300円安に迫る場面があった。終値は、前日比237円25銭安の1万6383円04銭と3日続落した。

26日の動意株

 セレス<3696>=後場一段高。
この日正午ごろ、「ポケモンGO」の世界的大ヒットに伴い、同社のスマートフォン向けポイントサイト「モッピー」「モバトク」において、「ポケモンGO」の課金額に対する期間限定7%ポイント還元キャンペーンを実施すると発表しており、これを好材料視した買いが株価を押し上げている。「モッピー」および「モバトク」は、それぞれのサイトから普段利用しているAppStore上のスマートフォンアプリで課金をすると、課金額に応じて通常は5%分のポイントが貯まる仕組み。

 ネポン<7985>=4日続伸。
この日、NEC<6701>と協業で提供している農業ICTクラウドサービスの機能を強化すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。今回の機能強化では、ハウス内に設置したセンサー間の関係性の把握や過去のセンサー情報との比較などが容易な環境センサー画面の提供をはじめ、サービスで提供する各種機能の画面を全面的に刷新し、視認性・操作性を一層向上するという。また、病害虫の発生原因となる高温多湿状態の警報機能を提供するとしており、今後1年間で1000農家への導入を目指すとしている。

 フリービット<3843>=大幅高。
同社はあす27日付で東証マザーズから東証1部に市場変更となることから、TOPIX連動ファンドなどの買い需要を見込んだ思惑的な買いが流入しているもよう。また、グループのドリーム・トレイン・インターネットがモバイル高速データ通信サービス「DTI SIM」の新プランとして、特定のアプリ利用で発生する通信量を通信容量に1年間含めない「DTI SIMノーカウント」を開始するなど、「ポケモンGO」人気を睨んだ戦略なども買い手掛かりとなっているようだ。

 メルコホールディングス<6676>=急反発。
同社は25日の取引終了後、17年3月期の第1四半期(4~6月)連結決算を発表。売上高は181億2300万円(前年同期比6.8%減)、営業利益は12億9800万円(同12.7%増)、純利益は12億4800万円(同34.6%増)と2ケタ増益を達成した。個人向けでは高付加価値製品の販売を強化、法人向けでは文教市場をターゲットとした多台数同時接続時でも安定した接続が可能な無線LAN製品の拡販に取り組み、海外事業は、法人向けを中心とした販売網の再構築を行っている。

 信越ポリマー<7970>=3連騰。
同社が25日取引終了後に発表した第1四半期(4~6月)連結決算で、営業利益が16億4500万円(同2.2倍)と大幅増益で着地したことが好感されている。主力の精密成形品事業で、半導体関連容器の出荷が好調に推移したことに加えて、電子デバイス事業でも住環境・生活資材事業の利益が改善したことが業績向上に寄与した。また、未公表だった17年3月期の連結業績予想をあわせて発表しており、売上高を760億円(前期比1.3%増)、営業利益を53億円(同29.2%増)としている。

 エヌアイシ・オートテック<5742>=続伸。
同社は25日取引終了後、未定としていた17年3月期の連結業績見通しについて、売上高67億7600万円(前期比9.7%増)、営業利益5億7700万円(同2.5%増)、純利益3億6700万円(同1.1%増)と発表し、営業増益見通しであることが好材料視されている。足もとで、生産設備用構造材のアルファフレームがFA向けなどに伸長しているほか、自動車部品製造企業向けの洗浄装置や検査装置の受注も好調に推移していることが業績を牽引している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想