ヘリコプターマネーは不要

著者:川島寛貴
投稿:2016/07/22 16:44

当局の隠し玉はまだあるか

昨日の欧州時間に黒田日銀総裁が英BBCのインタビューで「ヘリコプターマネーは必要も可能性も無い」と述べた事が伝えわり、ドル円は106円台後半から105円台半ばまで雪崩を打ったように急落しました。

ただ、取材時期が6月だったことを受け下落幅の半値まで戻ることとなりました。
その後、ドル円は106円を挟んだ水準で横ばいに。

通常、こういったこれまでのトレンドを否定する材料が出てくると、もっと大きく崩れるはずのですが、落ち着いて考えれば多くの市場参加者もヘリコプターマネーはインパクトがあるものの実現には懐疑的であったということが分かります。

ただ、2月のマイナス金利導入時には1週間前には「マイナス金利は検討していない。」と発言していました。
そういったことから、今回も日銀会合でヘリコプターが実現できるように法改正の検討を議題に上げるということを会見時に発言するかもしれません。

さて、昨日は思わぬ砲撃で相場が崩れてしまいましたが、7月11日以降、欧州時間からNY時間午前にかけてずっとドル買いが続いています。
これが昨日で終了したのかどうか分かりませんが、ドル円は105.50円が堅く何か材料が出ないと下抜けてこないように思えます。

バーナンキ氏の入れ知恵ではないですが、当局側からは「ヘリコプターマネー」や「財政出動20兆円」といったトリッキーなコメントが出てくる可能性はまだあるでしょう。

また、市場関係者によると、実需の買い意欲が旺盛とのことで、ドル円は来週29日の日銀まで上昇余力があるのではないでしょうか。
上値を抑える輸出の売りは107.50-80円からとまだまだ遠く、今夜から月曜日にかけて107円を見にいく動きがあっても不思議ではないと考えます。
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7月23日更新
欧州市場は、変わらずドル買いも徐々に緩やかになってきている印象。
米国勢の参入とともに、ポンドの弱さに引っ張られてかドル円は弱含む展開に。しかし、ロンドンフィックスで強烈なドル買いが持ち込まれドル円は当日高値を更新。

トレンドが転換しそうな際にこういったフローが入ってくると売り方が不利となり易いため、底堅くなってきた印象。もし、月曜日の東京時間に105円台があれば買いが入りやすく、そこからの反発は早くなるのではないでしょうか。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想