高まる上海合意への思惑

著者:川島寛貴
投稿:2016/04/12 21:03

米国の企業決算開始

本日の日経平均株価は上昇。昨日もそれなりに強い動きを見せていましたが、本日は寄り付き後に一気に買われ、そのまま高値圏で推移。為替相場はクロス円が買われ、原油価格の上昇を背景に豪ドル・ポンドが大きく買われました。
久しぶりのリスクオフ後退のような値動きですが、月・火曜日ということでポジション調整の動きと見ています。ただ、豪ドルに関しては経済がしっかりしており、直近の経済指標はやや悪かったものの、対ドルでは4月の高値に向けて上昇してきています。

リスクオフの際には、オセアニア通貨の対円が下落し易いですが、中国離れが進み、観光・教育産業へシフトが進んでいる豪ドルの下げ余地はよほどのことがない限り限定的なのではないでしょうか。

さて、ドル円は本日107円台で始まったものの、東京市場では108円を回復し11時以降は一度も割り込まずに推移しています。
108.50円にはまとまった売りがあるようで、それを背に売りが入っているようです。しかし、上から売っているポジションの利益確定も始まっているようで、欧州市場に入っても108円をキープしています。

先週から、NY市場が始まるとドル円が売られるという流れが続いていましたので、本日の22時以降ドル円が108円を割り込むかどうかに注目が集まります。もし、割り込まないとなると、3人のFED要人の講演で一度上を試すのではないかと思われます。
3人とも投票権はないですが、これまでのFED要人の発言はイエレン議長を除きタカ派気味になっており、やや下げ止まり感のあるドル円は上げやすいところ。

22:00 ハーカーフィラデルフィア連銀総裁講演
4:00 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
5:00 ラッカー米リッチモンド連銀総裁講演

108.50円より上の損切り注文をひと通り付けた後は、109円を背に売るという戦略がすんなりといきそうな気がします。
ドル円相場はイエレン議長、安倍首相、メルシュECB理事と日米欧3人の発言により上海合意の思惑はより高まっている状態。ドル円は節目である105円をつけないことには、本腰を入れて買ってくるところがいないのではないでしょうか。
そうなると、14~15日に開催されるG20を見ながら結局ドル円は下がるしかないのではと考えられます。

また、未だ高値圏にあるNYダウですが、今週から米国の企業決算が始まりました。ここで輸出企業の決算が悪いと、NYダウの下落とドル売りへ。そうなると、日本株も再び安値を探る展開となり、ドル円は105円に向けて下落してしまうということが想定されます。

先日も書きましたが、昨年末より米国の主要貿易相手国の通貨は夏場よりドル安へと推移しています。このことから、なんとか米国株の踏ん張りに期待したいところではありますが、個人的にはこのまま中途半端な位置で戻るよりは、一度下げ切ってしまった方が買いやすく反発も早いのではと考えます。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想