終わりの見えないカリフォルニアの記録的干ばつ、農家が窮地に
2014.04.09(水) Financial Times
2014年4月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
カリフォルニアの記録的な干ばつがシリコンバレーの中枢に影響を及ぼしつつある。
ほとんど雨らしい雨も降らずに雨季が終わり、ハイテク巨大企業グーグルが本社を置くマウンテンビューは先週、水不足の非常事態宣言を出した。このハイテク集積地では、非常事態宣言の影響は軽微だ。例えば、レストランは客がリクエストした場合を除き、水をサービスできない。
しかし、アップルが本社を置くクパチーノ市から車か飛行機でわずか数時間ほど内陸へ移動すると、米国最大の人口と農産業を抱えるカリフォルニア州を襲った干ばつの影響ははるかに大きな脅威となっている。
今年2月、3月にはほんのつかの間、雨が多少降り、ナパバレーのブドウ栽培者やサリーナス近郊のレタス農家、郊外や田園地帯に自宅を持つ人々に3年目に突入した干ばつが終わるとのかすかな望みを与えた。
長引く大干ばつで耕作地を眠らせる農家
だが、カリフォルニアで観測史上最悪の干ばつを記録した昨年に続き、今年秋まではわずかな降雨しか見込まれていないため、状況は厳しい。水資源関連当局の予測によると、2014年は史上5番目か6番目に乾燥した年になる可能性があるという。
「解消のメドは立っていないようだ」。環境研究団体パシフィック・インスティチュート代表のピーター・グライク氏はこう語った。
米国の農産物生産高の15%以上を生産する農家は、農地を眠らせたままにしており、成熟するまで数年を要し、定期的に給水しなければ死んでしまうブドウやアーモンドの木などの作物の維持に四苦八苦することとなる。
カリフォルニア農業用水連合(CFWC)のマイク・ウェイド事務局長は、農家は同州の800万エーカーの灌漑(かんがい)農地のうち約80万エーカーを休耕地とする計画だと説明し、「この夏がどうなるか、誰もが固唾を飲んで見守っている」と語る。
僻地の町の中には水が枯渇寸前に陥っているところもあり、大規模貯水池の多くは、水量が満水時の半分以下だ。乾燥した郊外や田園地帯の数百万のカリフォルニア世帯にとって、これは山火事の発生リスクが平均を上回ることを意味する。今年は既に数百件の山火事が発生している。
先週公表されたデータによって、溶けて流れ出る水が州内の都市や農地で毎年使用される水資源の3分の1を賄っているカリフォルニアの雪塊氷原が史上最小に迫っており、蓄積されている雪塊が通常の3分の1程度にとどまっていることが確認された。この時期は通常、雪塊の量が年間のピークに達する頃だ。