今までふざけていたつもりはあったので、
たまにはマジメに、そろそろまじめに。
常識。
それは暗黙のルール。
それは手抜きの手段。
それは一定期間だけ通用する決めごと。
「これが常識だ。」
これは一応従わなくてはいけないルール。
それに背くと非常識のレッテルを貼られる。
「これは常識だ。」
これは細かい説明を省くために用いられる説明の言葉。
裏にある道理をはしょって、相手を納得させる手段である。
「これは常識のはずだ。」
これは永遠に成り立つ法則に見せかけた、単なる決め事。
その常識が崩壊すると、その信奉者は混乱する。
震災が起きる前まで、常識では電力株はディフェンシブ銘柄だったし、
欧州危機やリーマンショックの前までは
資産は円だけでなく、ドル、ユーロに分散するのが常識だった。
さらにさかのぼると、
護送船団方式で銀行は潰れないという常識もあったし、
金利を下げれば景気が上がるという常識もあったし、
さらに昔には債券は投資で株式は投機だという常識もあった。
いずれも、普遍的な法則ではなかったわけだ。
今ある常識はなんだろう?
「先進国よりも新興国の方が成長率が高いため、投資したほうが良い」
「現金や預貯金は安全だ」
「一万円札には、その一万円を刷るの印刷費用以上の価値がある」
探せばいくらでもありそうだ。
常識の仲間に"思い込み"がある。
思い込みとは、狭い、信じる者が少ない常識とも言える。
ある事柄をあなたしか信じていなかったら、それは常識と言うより思い込みだ。
女はやせていなくちゃいけない。
「あら、大変!今年3キロも太ったわ。ダイエットしなきゃ。」
男は稼ぎが良くなくてはいけない。
「なんてひどい査定だ。給料はいつ上がるんだ!上司は見る目がないのか?」
子供は大人の言う事を聞かなくてはいけない。
「最近の若いモンはまったく…!」
大人はしっかりしてなくてはいけない。
「もう良い大人なんだから、結婚しなさい!」 …スンマセン。
ちょっと脱線した。
上のが常識か、思い込みか、何なのかはさて置き、話を続けよう。
常識は便利だ。
それに従っていれば後ろ指さされずにすむし、
細かい事を考えたり、常識以外のことを試したりせずに済む。
そのおかげで、効率よく動ける側面もある。
そう。常識と言う名の横断歩道の上を、みんながスムーズに流れていく。
しかし常識は時に危険だ。
当たり前、絶対的な法則と思っていた常識に浸ってしまうと、
その常識がなくなった際に、途方にくれる。
いや、それだけならまだ良い。最悪、ダメージをくらう。
「こんな伝統のある投資銀行が無くなるなんて、間違っている!」
これは以前テレビで見た、当時のリーマン従業員の言葉。
伝統ある企業は、存続する、存続すべき。これが彼らの常識だった。
日本だって、偉そうな事は言えない。バブル崩壊のときに体験済みのはずだ。
できればダメージを受けたくない。
じゃあどうすれば良いのか?
誰もが言っているように、
常識を疑って、新しいルールを創るのか。
常識を疑って、まさかの時に備えるのか。
「常識を疑え」だって?
ちょっと待ってくれ。
疑うぐらいなら、誰だって出来るだろう。
それならなぜ常識が消えたら、みんな右往左往するんだ?
「疑う」その前に、何かあるはずだ。
もっと根本的な何かが。
そうだ。
疑う前に、疑うために…
まずは気付け。
あなたの目の前に広がる
世界に溶け込んで見えなくなった
その常識とやらに。
そしてさらに気付け。
恒久の鉄則などではなく、
それは単なる常識でしかないことに。