ユリウスさんのブログ

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ブレア元英首相に学ぶ(2)  -官邸主導、最初の百日

 ブレア元英首相の「私の履歴書」からの引用を続けます。

 国家を効率的に機能させる能力は、20世紀半ばに必要とされたものとは違う。それは実行とプロジェクト管理を扱う民間部門のものに似ている。(中略)
 政策の意思決定、戦略の策定は圧倒的な速さで進めなければならない。

→ 迷走し(鳩)、プロジェクト管理ができず(管)、意思決定が圧倒的に遅い(鳩、管、どじょう)政権が続いています。一体改革を唱えていても、未だにその長期の全体像も、根拠も示せないのでは、物事を前に進めることはできません。


 官僚制度の問題は、物事を妨害することではなく惰性で続けることだ。官僚は既得権益に屈服し、現状維持か、物事を管理するのに一番安全な方法に逃げ込む傾向があった。(中略)
 大きな課題に対し小さな思考しかできず、組織が跳躍を求められているときに、少しづつしか動かなかった。(中略)
 首相は大企業の最高経営責任者や会長のようになった。政策方針を固め、それに役所が従っているかを見極める裏付けデータを入手し、結果を測定しなければならないのである。

→ 農水省、厚労省、経産省などが目に浮かんできませんか? そうならないための政治主導であったはずなのですが、民主党の政治家にその力が無かったということなのでしょうか。
民主党だけでなく、自民党にも言えることですが、わが国の政治家には政策を遂行した後、結果の測定をし、それを次の政策につないでいくという知恵が決定的に欠けていますね。


 政権発足後の最初の百日は、驚くほど生産的だった。我々は声明に次ぐ声明を発表した。
→ ブレア政権の最初にやった仕事は時代にマッチしており素晴らしかったと思います。
1 私立校への国の補助金廃止 ← みさかいなく増やしたのが民主党
2 イングランド銀行の政府からの独立  ← 正しい選択
3 欧州社会憲章に参加 ← 孤立はありえない
4 ロンドンに市長を置く ← これ、翔年には正邪の判断はできませんが、恐らく改革なのでしょう。
 このような政策は従来の労働党の政策とは違いますね。バラマキではなく、自立を促す、機会を与える代わりにそれに伴う責任も求める、という政治哲学に基づいた政策でした。


 その後、宗教と領土紛争が交じった憎悪の歴史が綴られてきた北アイルランド問題をブレアは10年かけて解決したのです。これはいくら賞賛してもしすぎることは無い夢のような成果だと言わねばなりません。

 この問題に対するブレアの原則
 「北アイルランド住民の多数が望めば南との統合はあり得る。だがそれまでは北アイルランドは英国の一部にとどまる。北アイルランドに全住民を代表する政府ができれば、カトリック系過激組織アイルランド共和軍(IRA)は戦闘をやめる」
 私は交渉をすべて自分で取り仕切ろうと決心した。(中略)
 解決までさらに9年を要した。その1年1年が苦難に満ち失敗を認めざるを得ないところまでたびたびいった。だが我々は進み続けた。
 歴史的な日は私の首相退任直前の2007年5月8日にやってきた。北アイルランドに新たな行政府ができた。首相はプロテスタント系、副首相はカトリック系。(中略)
 夢ではないかと思った。互いを殺したがっていた者同士が、今やともに働きたいと思っていたのだ。
→ ブレアがいたからこそ遂げられた和平協定だったと思います。これによって血塗られた紛争は一応治まったのでした。
(続く)


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