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[ベト株]日本人が知らなかったVISTA株(1/2)  

「VISTA」とは、ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの五ヵ国を指します。ポストBRICsとして注目されています。今回は、ベトナムについて取上げます。


ベトナムの高成長を側面から支える越僑からの送金

ベトナム経済は好調に推移しています。WTOへの加盟も正式に決定し、日本をはじめとする先進国の企業は、輸出拠点として、また最終消費地としてベトナムに熱い視線を送っています。

ところで、最近のベトナムの高成長を側面から支えているのが、「越僑」とよばれる人々からの送金です。「越僑」とは、中国における「華僑」、インドにおける「印僑」と同様、海外に居住して働くベトナム人のことを指します。「越僑」の多くは、ベトナム戦争が終結した1975年に同国が社会主義化することを嫌って国外に脱出した人々です。難民となって命からがら国外に逃れた人も少なくありません。

では、「越僑」はどれぐらいの数に上るのでしょうか。海外ベトナム人協会の資料などによると、その数は約300万人に及びます。現在のベトナムの人口が約8312万人ですから、人口比では3.6%程度になります。

「越僑」は世界各地に散らばって活躍していますが、地理的な分布をみると、その多くは米国に居住していることがわかります。米国に居住する「越僑」は約122.4万人で越僑全体の3分の1以上を占めています。米国内では、カリフォルニアやテキサスなどの大都市部に「越僑」が集中しています。

海外のビジネスで成功を収めた「越僑」は毎年多額の資金をベトナム本国に送金しています。ベトナム国家銀行によると、母国への送金額は年々増加しており、2005年は前年比15%増の38億ドルにも達しました。

これとは別に、正規の金融機関を経由せず地下銀行などを経由して送金される資金も10~15億ドル程度に上るといわれています。

地下銀行は、正規の金融機関に比べて手数料が安いため、かなりの「越僑」が地下銀行を利用しているそうです。不正送金も含めて捉えると、実際の送金額は48億ドルから53億程度になるとみられます。これは、ベトナムに供与されるODAの金額を大きく上回り、ベトナムの経済規模(GDP)の9.3%から10.3%に匹敵する金額です。

母国への送金額が多いのは、「越僑」の数が多い米国やオーストラリアなどですが、最近では台湾からの送金が増えてきたのは、台湾人と結婚するベトナム人女性が増えてきたこと、派遣労働者として台湾に送られる「越僑」が増えてきたことなどが影響しているといわれます。

「越僑」からの母国に送金される多額のマネーは、政府にとって外貨獲得の重要な手段であるとともに、設備投資や個人消費といった内需の拡大にも貢献しています。

一方、個人消費については、海外に住む「越僑」からの送金によって家族の現金収入が増加しており、それによってオートバイや白物家電といった高額の耐久消費財が伸びています。

ドイモイ(刷新)政策で民主化を進めるベトナム政府が「越僑」のUターン帰国を促していることもあって、今後、ベトナムに帰化する「越僑」の数は増えていくことが見込まれます。海外で豊富な経験を積んだ「越僑」の人たちが本国で活躍することで、ベトナム経済はさらなる発展を遂げることになるでしょう。


急拡大するベトナムの個人消費

急成長が続くベトナムでは個人消費が急拡大しています。

鳥インフルエンザの流行などマイナス要因があったにもかかわらず、2005年の実質個人消費は前年比7.5%増の高い伸びとなり、1年間の経済成長の6割が個人消費によってもたらされた計算になります。

かつてベトナムの個人消費は食品や衣料といった生活必需品が中心だったのですが、近年では生活必需品だけでなく携帯電話やパソコン、白物家電をはじめとする耐久消費財、外食、サービスなどさまざまな分野で消費が盛り上がってきています。

たとえば、ホテル・レストラン業界の売上高は2000年代に入って急伸しており、2005年は前年比28.6%増の58.7兆ドンとなりました。またサービス産業の売上高もここ数年の間に顕著に拡大しており、2005年は前年比23.8%増の43.6兆ドンを記録しました。

一方、女性の間では化粧品の消費がブームになっています。化粧品市場の拡大を狙って、外資系企業がベトナム市場に進出する動きも出てきており、日本では資生堂やコーセーなどがベトナムに進出しています。

交通手段についても、一昔前の自転車からオートバイへ、オートバイから自動車へと、消費の高級化が進んでいます。

地域別に見ると、道路の整備が進み、また購買力のある中産階級が多数台頭しているハノイやホーチミンといった大都市部で、モータリゼーションの進展が顕著です。ベトナムにおける乗用車市場の拡大を受けて、日本のホンダは、2006年8月から現地生産の「シビック」の販売を開始しました。


低下する失業者、上昇する賃金

ベトナムで個人消費が盛り上がっている背景には、景気が好調に推移するなかで国民の雇用・所得環境が改善していることがあります。

2000年時点で6.42%であった完全失業率は2005年には5.31%まで低下しました。賃金もホーチミンやハノイなどで急上昇しています。

農業から工業へと産業構造の高度化が進むなかで、貧困層も減少傾向にあります。ただ、賃金の上昇は、安価な、安価な人件費を求めてベトナムに進出する外資系企業にとってはマイナス材料になります。

ベトナムでは、自動車や冷蔵庫、洗濯機などの高額商品の普及率がまだ15%前後と低い水準にとどまっており、今後の消費の拡大余地は非常に大きいといえるでしょう。


アジアのなかでも教育水準の高いベトナム国民

ベトナムに進出した外国企業の多くは、ベトナムの労働力について、全般的に質が高いと評価しています。ベトナム人は勤勉で、手先が器用、視力もよいといわれ、加工組み立て型の作業をするのに適しています。ある日本の企業経営者は、現在のベトナムの労働者が、勤勉さの面において高度成長期の日本の労働者に似ているとの感想をもらしています。

人件費が中国の3分の1程度で、なおかつ労働力の質も高いということで、コスト削減を目指す外国企業が積極的にベトナムに進出しているのです。

このようなベトナムの労働力の質の高さは、ベトナムに進出した外国企業によるOJTの成果に加えて、国内における基礎教育の充実によっても支えられています。実際、ベトナムの国民は、アジア諸国のなかでも教育水準が高いことで有名です。

たとえば識字率を見ると、ベトナムは90.3%となっており、これは国民の9割以上が基本的な読み書きができることを意味します。インドの識字率が61.0%ですから、90%という数字は開発途上国のなかでは非常に高いと評価できるでしょう。

また、学校に通う生徒の割合も高く、初等教育の就学率は、男子で97%、女子でも91%に上ります。これは学校教育と無縁の環境におかれている児童はほとんどいないということを意味します。ただし、農村部では、学校があって児童が入学していても、先生が副業をしていて学校に来ないため、ほとんど休校状態になっているところもあるようです。

ベトナム政府は、経済発展をするにあたって、労働力の質を高めることを重要視しており、そのためには教育制度を充実させることが必要と考えています。ベトナムではドイモイ(刷新)政策がはじまった1986年から、教育制度が急速に整備されていくようになりました。

では、ベトナムの教育制度はどのようなものなのでしょうか。現在のベトナムの教育制度は1998年に制定された「教育法」に基づいています。

まず、6歳から11歳までの5年間が初等教育の期間で、これは日本の小学校に相当します。中等教育は前期課程(11~15歳までの4年間)と後期課程(15~18歳までの3年間)に分かれています。そして、日本の大学に相当する高等教育(19~22歳までの4年間)があります。

つまり、ベトナムの教育制度は5-4-3-4制になっているのです。このうち義務教育の期間は初等教育の5年間のみです。ベトナムの教育制度の課題としては、①教育のためのインフラ設備が不十分であること、②詰め込み教育が中心となっていて就業した際に創造性に欠けることが多い、といったことがあります。


改革が進む「南北格差の問題」

1960年から1975年まで、15年間も続いたベトナム戦争の後、ベトナム国内ではいわゆる「南北格差」の問題が深刻化していきました。

ベトナムは南北に長く伸びた地形(約2000キロメートル)となっていますが、ホーチミン市(人口600万人)を中心とした南部地域の経済が活況を呈する一方、ハノイ市(人口300万)を中心とした北部地域では経済が停滞するようになりました。

北部地域は、ドイモイ(刷新)政策が行なわれるまで計画経済下にあったため、市場主義がすでに浸透していた南部地域に比べて発展が遅れることになったと考えられます。

南部地域では、ベトナム戦争後、農業が盛んになり、インディカ米を周辺地域に輸出することで急速な経済発展をしていったのです。

一方、ベトナム戦争中、米軍のB52による北爆で壊滅的な打撃を受けた北部地域では、経済条件が悪いということもあって、貧しい増えていきました。北部地域のベトナム人の一部は、ベトナムを離れてソビエト連邦(当時)などに出稼ぎに出て行くようにもなりました。

ベトナムに進出する外国企業も、インフラなどの社会資本整備が進んだ南部地域に積極的に進出していったため、これが「南北格差」の拡大に拍車をかけることになりました。

しかし、近年では、ベトナム政府が「南北格差」を是正するための政策を打ち出しています。具体的にはハノイなどの工業団地を造成して、外国企業の北部地域への進出を促しています。

経済発展が進んだ南部地域に比べると、北部地域の賃金はなお低水準にとどまっているため、より安い人件費を求めて北部地域に進出していく外国企業も増えています。

日本からのベトナムへの投資額をみても、最近では、北部地域への投資額が南部地域への投資額を上回って推移しています。

それでも南北ではなお経済格差が存在します。南部のホーチミン市の一人あたりGDPは現在1700ドルですが、北部のハノイ市では1150ドルにとどまります。

ベトナムとの経済関係を強める日本は、今後、ベトナムに対してODA(政府開発援助)などを通じて積極的な経済援助をして、南北格差の是正に貢献していくべきでしょう。


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