TIW藤根 靖晃さんのブログ

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【おしえてアナリスト】建設機械メーカーのコマツについて

TIWでは、皆様からアナリストへのご質問にお答えしております。


【質問】

建設機械メーカーのコマツ(6301)ですが、一時の株価からかなり下がっています。
新興国での活躍はまだまだ期待できると思いますが、なぜここまで下げてしまっ
たのでしょうか?また今後の株価の見通しについてどのように考えればよいので
しょうか?

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【回答】

ご質問ありがとうございます。機械セクター担当の中野がお答えいたします。
ご存知の通り、国内シェアで首位、世界シェアでは米キャタピラーに次ぐ第2位の
規模を誇るコマツですが、07年10月の高値4,090円から直近09年4月23日の終値
1,213円までで約7割の下落となっています。この主な要因としまして、

(1)米国発のサブプライムローン問題を発端としたグローバルな建設機械需要の急減

(2)原材料価格の高騰、その後の資源価格の下落などによる鉱山向け建設機械需要の鈍化

(3)急速な円高の進展などが重なり、想定以上に業績悪化が懸念されたことにあると考えています。


02年以降の株価推移及びその背景について順を追って説明したいと思います。
02年以降、同社の業績は欧米及びアジア新興国のインフラ整備や住宅建設、資源
開発向け需要を牽引役に2桁増収のペースで拡大し続け、08/3期に売上高2兆2,430
億円(前期比18%増)、営業利益3,328億円(同36%増)と6年連続の増収営業増
益を達成しました。この間における営業利益の増加要因としては、販売価格の改
善や需要拡大よる物量増などが中心でしたが、為替が対ユーロで02年の110円台か
ら07年に入り160円台に達するなど、円安による収益押し上げの効果もありました。
そのため、07年10月頃までの好調な株価推移は外需主導の販売増、円安効果によ
る利益伸長が大きく影響していると考えられます。
しかし、07年後半に入り米国においてサブプライムローン問題が顕在化すると、
米国住宅向け建設機械の需要は減少し、為替も対ドルで円高方向に推移し始めま
す。また、その後サブプライムローン問題が世界的な金融危機に発展したことか
ら、欧州においても住宅バブルが崩壊し、08年8月以降為替が対ユーロでも急速に
円高方向に進展しました。加えて、原材料である鋼材の価格が新興国需要の拡大
により高騰したことで、製造コストの上昇要因も発生しました(原材料の鋼材は
市況価格とすぐには連動せず、タイムラグが発生する)。そのため、07年10月か
ら08年半ばにかけての株価の急落は、同社の高い海外売上比率(約7割)を背景と
した円高による収益目減りや、原材料価格の高騰による収益の圧迫が響いている
といえるでしょう。

一方、中国、アジア・オセアニア、中近東を始めとする新興国・資源国向けの建
設機械売上は、石炭や鉄鉱石など鉱山開発やインフラ整備向け需要の増大により、
08年7-9月頃までは前年同期比を上回って推移しました。しかし08年7月辺りから
商品や資源価格が急落し始めたことや、先進国向けの輸出品減少などが顕著にな
り新興国・資源国企業の収益を圧迫し始めます。そして08年9月のリーマン・ショッ
クにより世界レベルへ金融不安が拡大し、企業の設備投資意欲は急速に冷え込み
ました。特に中国では従来から不動産投資が過熱感を帯びていたこともあって、
09/3期3Q(08年10-12月)の同社の同地域売上は前年同期比42%減と、前四半期の
同23%増から一転しています。08年半ば以降の株価の軟調な推移は、堅調な新興
国需要への期待がやや剥落したものと捉えられるでしょう。
総合しますと、02年以降の欧米やアジア新興国向け需要の増大、円安効果による
利益貢献から業績以上に評価された株価は、07年後半以降発生した上記3つの複合
的なマイナス要因により、業績の大幅悪化(もしくは利益の赤字転落)が懸念さ
れ大幅に値を下げたものと考えられます。株価が一時的に解散価値を割る水準ま
で落ち込んだ理由としては需要見通しが困難となり、最終損失が懸念される事態
があったからでしょう。

さて、直近の同社株価の動き及び今後の見通しについてですが、リーマン・ショッ
ク以後の世界経済の後退は、もはや投資家にとって周知の事実であり、09/3期
4Q(09年1-3月)及び10/3期1Q(4-6月)辺りまでの業績の悪化はほぼ株価に織り
込まれたと考えています。直近の株価は2月23日の安値944円(終値)をボトムに4
月23日の終値1,213円まで約3割反発し、同期間のTOPIX伸び率を14pt近く上回って
います。とはいえ、この好調な株価推移が続くのかという質問に対しては、短期
的にややもみ合う可能性もあると考えています。その理由として

(1)上記の期間においては過度な円高懸念が修正されたことによる業績見通しの上押し効果が大
きかったと考えること

(2)09/3期通期決算及び10/3期業績予想の発表を4月末
から5月に控え、当面は手控えムードとなりそうなこと、などが挙げられるでしょ
う。

一方、中長期の視点からは09年の夏以降、再び株価の上昇基調は緩やかながらも
強まると考えています。その理由として、

(1)現在実施している生産調整により
09年の7、8月頃には在庫が適正水準へ戻る可能性があること、

(2)現行の為替水
準が続けば、10/3期下期は前年同期比で円安による増益要因が発生する見込みで
あること、

(3)足元の需要は厳しいものの、世界各国による交通インフラや公共
投資など財政出動の恩恵を受け易い建設機械業界の中で、相対的に成長が期待で
きる新興国の売上割合が高いこと、などが挙げられるでしょう。


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