堀江貴文氏の著作「徹底抗戦」を読了し、一個人投資家として最も印象に残ったのは、やはりSBI証券CEOの北尾氏のエピソードです。
以下、本書から抜粋。
彼はのしのしと、歩いてやってきた。そして開口一番「君は天才だね! 100分割なんて誰でも思いつくものじゃない」と言った。 さらに「SBIとライブドアで株式を持ち合おう。ちょうど君のところと時価総額は同じくらいだ。5%ずつ新株を発行してお互いが増資を引き受け、それを市場で売却して得たお金で共同のファンドを作ろう!」とたたみかけてきた。
彼はファンドが大好きなのだろう。まぁ、ファンドの運営をSBIでやって、その手数料で儲けたいという非常に我田引水な話だったので、「検討してみます」とほったらかしにしておいたんだけど、それが後になって「清廉な地下水を汚す云々」というのも変な話だなぁ、と思ってみたりもするが、こういう話はマスコミはあまり好きではないようだ。
さて、これだけでも十分面白いのですが、さらに追い討ちをかけるようなネタをご紹介します。
北尾氏はご自身の著書「何の為に働くか」で激しく堀江氏を非難しているのです。
彼は資本市場という公共財を利用して、法律に触れないからといって、百対一の株式分割を行いました。
株式分割すると一時的に市場に株が不足した状態が生じ、それによって株価が騰がるのです。(以下、省略)
このように、金融の世界には、法律に触れなくても市場を悪用しようと思えばできることがたくさんあります。
そういうことが私にはわかりすぎるぐらいわかっているので、そういう汚い手を使うことは一切駄目だと社員にもはっきり言っています。
こうした倫理観は、金融業をやっていくうえで絶対に必要なのです。
いや~、見事な二枚舌ですよね^^)
あまりの豹変振りに呆れるどころか笑ってしまいます。
生き馬の目を抜くような過酷な証券業界。
どこで裏切られ出鼻を挫かれるかわからない世界です。
北尾氏の矛盾するような発言と行動は、金融業をやっていくうえで“絶対に必要な”処世術かもしれません。