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進学会ホールディングスのニュース
■中期経営計画と進捗状況
2. 基本戦略「大学入試制度改革への対応とソリューション事業の強化」とその進捗状況
大学入試制度改革への対応としてまず挙げられるのが英語教育における“城南”ブランドの確立だ。城南進学研究社<4720>は乳幼児から社会人までのワイドレンジに対して英語教育サービスを提供する体制を整えている。その中で大学入制度改革に対応して、4技能を伸ばす新たな英語カリキュラム『5 Codes English』の開発を進めている。これは同社が2015年12月に子会社化した留学試験対策をメイン事業とするリンゴ・エル・エル・シーとの共同開発事業だ。『5 Codes English』は2018年に予備校などに投入され、差別化商品として集客力向上に寄与することが期待されている。
ソリューション事業というのはBtoBでの事業展開を意図しており、その内容は、同社の対象顧客とサービス範囲の幅広さゆえに、様々なものが考えられる。前述のくぼたのうけんやWeb学習システム「デキタス」もソリューション事業の一環として外部との提携や外販を進めている。そうしたなか、今第2四半期は、地方自治体との提携という興味深い進捗があった。
これは、神奈川県箱根町との間で、同町教育委員会が開講する『箱根土曜塾』の運営を受託したというものだ。『箱根土曜塾』は箱根町が経済的理由などから塾に通えない受験生を支援するために開校した公営塾で、これに同社の『城南アクティブラーニングメソッド(略称・JAM)』が採用された。JAMはWeb学習システム「デキタス」を利用しており、同社の成長戦略の1つである“ICTを活用した次世代型指導の開発・販売”に合致するものといえる。箱根町と同様のニーズは他の地方を中心に多数の自治体に存在しているとみられる。『箱根土曜塾』の成功をてこに、他の自治体との連携へと拡大させていくことを当然に狙っているとみられる。今後の展開を見守りたい。
3. 基本戦略「少子高齢化の進行を見越した収益構造改革」とその進捗状況
少子高齢化の進行を見越した収益構造改革における進捗としては事業部門別動向の項で述べたように、各部門において着実に進捗している。
予備校の校舎統廃合や、個別指導教室の不採算教室の管理強化とスクラップアンドビルド、2017年5月のJBSナーサリーの子会社化などは、すべてこのテーマによって1本につながっていると言える。縮小方向ばかりでなく、河合塾マナビスや各種乳幼児向けサービス(くぼたのうけん、ズー・フォニックス・アカデミー、保育園運営など)、久ケ原スポーツクラブなどの強化といった拡大方向の動きもある。
今後はそれぞれの事業間のシナジー追求に期待が高まる。これまでにも予備校で培った指導ノウハウを、映像授業部門や個別指導部門、デジタル教材の開発などに活用するなど、シナジー追求の努力は行われてきている。しかしながら、城南予備校の空いたスペースにおいて学童保育事業を展開するなど、新たな事業モデルの開発も含めて、シナジー追求の余地はまだまだ大きいと弊社では期待している。
4. 基本戦略「顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化」とその進捗状況
城南進学研究社<4720>は “教場事業のクオリティ強化とJ-FAMILY化構想の実現”に取り組んでいるが、これは“顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化”と実質的に同じことだと弊社では理解している。J-FAMILY化というのは乳幼児期から大人までの長期にわたって同社の顧客化を進め、LTVすなわち生涯売上高を拡大させることを意図している。
一方、顧客ロイヤルティの向上は、顧客満足度の向上とほぼ同義と言えるだろう。満足しないサービスにロイヤルティを有する顧客はいない。“教場事業のクオリティ強化”とは高い顧客満足度を実現できるサービスを提供しようということにほかならない。
この教場事業のクオリティに関しては、公益社団法人企業情報化協会が主催するカスタマーサポート表彰制度において「奨励賞」を受賞するなど、目に見える形で成果が出てきている。弊社ではこうした賞にもまして、今第2四半期における7期連続増収という業績が同社への満足度の高さを雄弁に物語っていると考えている。
LTVの最大化を目指す戦略は、高校生主体から乳幼児教育や小中学生への注力という戦略転換や、一生の課題と言える英語教育の強化などを通じて、これまで着実に進捗してきている。教育産業は制度改革や社会の変化などにも左右されるため、“完了”はないが、完成度としてはかなり高いレベルにあるというのが弊社の評価だ。同社自身は一段の完成度向上に向けて、今後も戦略的なM&Aやアライアンスを進める方針だ。2017年10月に発表された進学会ホールディングス<9760>との資本業務提携はその一環だ。こうした動きは2019年3月期以降も続く見込みであり、今後の展開を見守りたい。
■今後の見通し
2018年3月期通期の業績について城南進学研究社<4720>は、売上高7,251百万円(前期比4.7%増)、営業利益403百万円(同20.2%増)、経常利益454百万円(同12.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益304百万円(同58.1%増)と増収増益を予想している。これらの予想数値は期初予想から変更はない。
2018年3月通期の予想を達成するために必要な下期の収益は、売上高が3,633百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益が167百万円(同85.2%増)となっている。このハードルは決して低くはないが、達成可能だと弊社では見ている。
売上高については映像授業部門や乳幼児・児童教育部門、子会社群の売上伸長が期待される。河合塾マナビスは前年下期に新規開校した2校舎(松戸校、ときわ台校)が生徒数を積み上げ、売上を伸ばしてくると期待される。乳幼児・児童教育関連ではJBSナーサリーが下期は6ヶ月分がフルに寄与することになるほか、くぼたのうけんや城南ルミナ保育園、子会社のジー・イー・エヌなどは収益の季節性がないため、安定的に推移すると期待される。久ケ原スポーツクラブやリンゴ・エル・エル・シーなどの子会社も収益の拡大が続く見通しだ。これらの結果として、売上高の3,633百万円(前年同期比7.9%増、上期比0.4%増)という目標は視野に入っていると弊社では考えている。
一方、利益については、過去の推移を見ると季節要因から下期は利益が大きく低下する傾向が顕著だった。今下期の営業利益167百万円という水準はそうした過去の実績に照らすと非常にチャレンジングな目標に見える。しかし同社の収益構造が変わりつつあるなかで、利益の上下差が縮小してきているのは事実だ。乳幼児・児童教育関連事業の売上構成比は、それ自体が堅調に売上成長を続けているところに予備校部門の縮小が加わり、急速に上昇してきている。前述のように乳幼児・児童教育関連事業は季節性がなく利益面でも年間を通じて安定している。また、下期に利益の足を引っ張っていた予備校部門において、2017年3月期中に2校舎を整理統合した効果が、2018年3月期はフルに寄与すると期待される。個別指導部門でも不採算教室の整理統合を進めており、この効果も利益押し上げ要因となると期待される。結果的に、下期の利益目標が達成される可能性は高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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2. 基本戦略「大学入試制度改革への対応とソリューション事業の強化」とその進捗状況
大学入試制度改革への対応としてまず挙げられるのが英語教育における“城南”ブランドの確立だ。城南進学研究社<4720>は乳幼児から社会人までのワイドレンジに対して英語教育サービスを提供する体制を整えている。その中で大学入制度改革に対応して、4技能を伸ばす新たな英語カリキュラム『5 Codes English』の開発を進めている。これは同社が2015年12月に子会社化した留学試験対策をメイン事業とするリンゴ・エル・エル・シーとの共同開発事業だ。『5 Codes English』は2018年に予備校などに投入され、差別化商品として集客力向上に寄与することが期待されている。
ソリューション事業というのはBtoBでの事業展開を意図しており、その内容は、同社の対象顧客とサービス範囲の幅広さゆえに、様々なものが考えられる。前述のくぼたのうけんやWeb学習システム「デキタス」もソリューション事業の一環として外部との提携や外販を進めている。そうしたなか、今第2四半期は、地方自治体との提携という興味深い進捗があった。
これは、神奈川県箱根町との間で、同町教育委員会が開講する『箱根土曜塾』の運営を受託したというものだ。『箱根土曜塾』は箱根町が経済的理由などから塾に通えない受験生を支援するために開校した公営塾で、これに同社の『城南アクティブラーニングメソッド(略称・JAM)』が採用された。JAMはWeb学習システム「デキタス」を利用しており、同社の成長戦略の1つである“ICTを活用した次世代型指導の開発・販売”に合致するものといえる。箱根町と同様のニーズは他の地方を中心に多数の自治体に存在しているとみられる。『箱根土曜塾』の成功をてこに、他の自治体との連携へと拡大させていくことを当然に狙っているとみられる。今後の展開を見守りたい。
3. 基本戦略「少子高齢化の進行を見越した収益構造改革」とその進捗状況
少子高齢化の進行を見越した収益構造改革における進捗としては事業部門別動向の項で述べたように、各部門において着実に進捗している。
予備校の校舎統廃合や、個別指導教室の不採算教室の管理強化とスクラップアンドビルド、2017年5月のJBSナーサリーの子会社化などは、すべてこのテーマによって1本につながっていると言える。縮小方向ばかりでなく、河合塾マナビスや各種乳幼児向けサービス(くぼたのうけん、ズー・フォニックス・アカデミー、保育園運営など)、久ケ原スポーツクラブなどの強化といった拡大方向の動きもある。
今後はそれぞれの事業間のシナジー追求に期待が高まる。これまでにも予備校で培った指導ノウハウを、映像授業部門や個別指導部門、デジタル教材の開発などに活用するなど、シナジー追求の努力は行われてきている。しかしながら、城南予備校の空いたスペースにおいて学童保育事業を展開するなど、新たな事業モデルの開発も含めて、シナジー追求の余地はまだまだ大きいと弊社では期待している。
4. 基本戦略「顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化」とその進捗状況
城南進学研究社<4720>は “教場事業のクオリティ強化とJ-FAMILY化構想の実現”に取り組んでいるが、これは“顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化”と実質的に同じことだと弊社では理解している。J-FAMILY化というのは乳幼児期から大人までの長期にわたって同社の顧客化を進め、LTVすなわち生涯売上高を拡大させることを意図している。
一方、顧客ロイヤルティの向上は、顧客満足度の向上とほぼ同義と言えるだろう。満足しないサービスにロイヤルティを有する顧客はいない。“教場事業のクオリティ強化”とは高い顧客満足度を実現できるサービスを提供しようということにほかならない。
この教場事業のクオリティに関しては、公益社団法人企業情報化協会が主催するカスタマーサポート表彰制度において「奨励賞」を受賞するなど、目に見える形で成果が出てきている。弊社ではこうした賞にもまして、今第2四半期における7期連続増収という業績が同社への満足度の高さを雄弁に物語っていると考えている。
LTVの最大化を目指す戦略は、高校生主体から乳幼児教育や小中学生への注力という戦略転換や、一生の課題と言える英語教育の強化などを通じて、これまで着実に進捗してきている。教育産業は制度改革や社会の変化などにも左右されるため、“完了”はないが、完成度としてはかなり高いレベルにあるというのが弊社の評価だ。同社自身は一段の完成度向上に向けて、今後も戦略的なM&Aやアライアンスを進める方針だ。2017年10月に発表された進学会ホールディングス<9760>との資本業務提携はその一環だ。こうした動きは2019年3月期以降も続く見込みであり、今後の展開を見守りたい。
■今後の見通し
2018年3月期通期の業績について城南進学研究社<4720>は、売上高7,251百万円(前期比4.7%増)、営業利益403百万円(同20.2%増)、経常利益454百万円(同12.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益304百万円(同58.1%増)と増収増益を予想している。これらの予想数値は期初予想から変更はない。
2018年3月通期の予想を達成するために必要な下期の収益は、売上高が3,633百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益が167百万円(同85.2%増)となっている。このハードルは決して低くはないが、達成可能だと弊社では見ている。
売上高については映像授業部門や乳幼児・児童教育部門、子会社群の売上伸長が期待される。河合塾マナビスは前年下期に新規開校した2校舎(松戸校、ときわ台校)が生徒数を積み上げ、売上を伸ばしてくると期待される。乳幼児・児童教育関連ではJBSナーサリーが下期は6ヶ月分がフルに寄与することになるほか、くぼたのうけんや城南ルミナ保育園、子会社のジー・イー・エヌなどは収益の季節性がないため、安定的に推移すると期待される。久ケ原スポーツクラブやリンゴ・エル・エル・シーなどの子会社も収益の拡大が続く見通しだ。これらの結果として、売上高の3,633百万円(前年同期比7.9%増、上期比0.4%増)という目標は視野に入っていると弊社では考えている。
一方、利益については、過去の推移を見ると季節要因から下期は利益が大きく低下する傾向が顕著だった。今下期の営業利益167百万円という水準はそうした過去の実績に照らすと非常にチャレンジングな目標に見える。しかし同社の収益構造が変わりつつあるなかで、利益の上下差が縮小してきているのは事実だ。乳幼児・児童教育関連事業の売上構成比は、それ自体が堅調に売上成長を続けているところに予備校部門の縮小が加わり、急速に上昇してきている。前述のように乳幼児・児童教育関連事業は季節性がなく利益面でも年間を通じて安定している。また、下期に利益の足を引っ張っていた予備校部門において、2017年3月期中に2校舎を整理統合した効果が、2018年3月期はフルに寄与すると期待される。個別指導部門でも不採算教室の整理統合を進めており、この効果も利益押し上げ要因となると期待される。結果的に、下期の利益目標が達成される可能性は高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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