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フジのニュース
日経平均は大幅に3日続伸。390.15円高の26916.97円(出来高概算6億株)で前場の取引を終えている。
週明け2月28日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、166ドル安となった。西側諸国がロシアの一部銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網から排除したほか、米政府がロシア中央銀行との取引禁止を発表し、ウクライナ危機を巡る対ロ制裁の強化を受けて世界経済の減速懸念が広がった。ただ、停戦協議の進展への期待もあって下げ幅を縮小。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は金利低下を受けて+0.41%
となった。本日の東京市場でも停戦協議への期待や米ハイテク株高で投資家心理が改善し、日経平均は309円高からスタート。寄り付き後も上げ幅を広げる展開となり、前場中ごろを過ぎると27013.26円(486.44円高)まで上昇する場面があった。
個別では、売買代金トップの商船三井<9104>が7%の上昇。31日を基準日として1株につき3株の割合で株式分割を実施すると発表している。郵船<9101>や川崎船<9107>も上げが目立つ。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>や東エレク<8035>が堅調で、トヨタ自<7203>は小幅に上昇。また、「物言う株主」として知られる香港の投資ファンドが大量保有報告書を提出したマネックスG<8698>は東証1部上昇率トップとなっている。一方、レーザーテック<6920>やソニーG<6758>、三井物産<8031>はさえない。三井物産は英シェルがロシアの天然ガス事業「サハリン2」から撤退すると発表し、引き続きロシア事業の先行き懸念がくすぶっているようだ。また、前日まで急騰していたフジ<8278>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、海運業、鉱業、サービス業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、空運業、銀行業、ゴム製品など4業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の65%、対して値下がり銘柄は31%となっている。
前日のNYダウは世界経済の減速懸念から反落するも下げ渋り、米ハイテク株には金利低下を受けて買いが入った。本日の東京市場でもこうした流れから先行き懸念が和らいだとみられ、日経平均は大幅に3日続伸し、前場に27000円台を回復する場面があった。日足チャートを見ると、26400円台に位置する5日移動平均線を寄り付きから大きく上回り、値動き良化に期待した買いが入っていそうだ。一方、27000円あまりのところに位置する25日移動平均線近辺まで上昇し、目先の利益を確保する売りも出やすいか。前引けの日経平均が+1.47%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.93%。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円ほどとまずまず多い。
売買代金上位では株式分割の実施を発表した商船三井を中心に海運株の上昇が目立ち、上昇率上位には中小型グロース(成長)株が多くランクインしている。一方、金融株がやや軟調で、三井物産などロシア事業への懸念がくすぶる銘柄にも売りが続いている。
新興市場ではマザーズ指数が+5.81%と大幅に3日続伸。こちらは先んじて740pt台に位置する25日移動平均線を上回ってきた。前述のとおり中小型グロース株高の追い風が大きい。2月24日安値(648.20pt、取引時間中)から急ピッチのリバウンドを見せており、個人のセンチメントや資金余力の改善につながっているのだろう。振り返ってみると、東証1部でも海運株を中心に個人投資家に人気の銘柄が賑わっている印象を受ける。
さて、前日の米市場では原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI4月物)が1バレル=95.72ドル(+4.13ドル)と反発。商品市況の先高観から期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.62%
(+0.08pt)に上昇した。一方、世界経済の減速懸念とともに金融引き締めを織り込む動きが一段と後退し、金利は幅広い年限で低下。10年物国債利回りは1.82%(-0.14pt)となった。「対ロ制裁の影響は限定的」とか「停戦協議の進展に期待」といった声もあるが、これらの動きはウクライナ危機の長期化を見据えたものだろう。結果的に名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は低下し、特にこれまできつい調整を強いられてきた中小型グロース株の押し目買いの手掛かりとなっているようだ。
また、2月月間で日経平均は-1.76%(-475.16円)、TOPIXは-0.47%(-9.00pt)と2カ月連続で下落しており、株式相場全体としてリバランス(資産配分の再調整)目的の買い需要に期待する向きもある。
もっとも米金融政策を巡っては、アトランタ連銀のボスティック総裁が「持続的な高インフレが示されれば、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptの利上げを検討」する可能性を示唆している。ウクライナ危機の陰であまり注目されなかったが、2月25日に発表された1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+6.1%と大幅に伸び、商品市況の高止まりからもインフレ懸念は拭いづらいだろう。「金利低下+期待インフレ率上昇=グロース株買い」の構図が持続的なものかよく見極めたうえで取り組む必要があるだろう。
ウクライナ情勢についても、ロシア側が強硬な停戦条件を突き付けていると報じられていることに加え、米国防総省などの戦況分析でロシア軍に攻勢を緩める気配が感じられないのも懸念される。これまでの米政府の発表を見ると、米情報機関は侵攻開始前からロシア軍の動きをかなり正確につかんでいる印象を受ける。危機収束はなお見通しづらく、金融市場も不安定な状況が続くとみておいた方がよさそうだ。
(小林大純)
<AK>
週明け2月28日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、166ドル安となった。西側諸国がロシアの一部銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網から排除したほか、米政府がロシア中央銀行との取引禁止を発表し、ウクライナ危機を巡る対ロ制裁の強化を受けて世界経済の減速懸念が広がった。ただ、停戦協議の進展への期待もあって下げ幅を縮小。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は金利低下を受けて+0.41%
となった。本日の東京市場でも停戦協議への期待や米ハイテク株高で投資家心理が改善し、日経平均は309円高からスタート。寄り付き後も上げ幅を広げる展開となり、前場中ごろを過ぎると27013.26円(486.44円高)まで上昇する場面があった。
個別では、売買代金トップの商船三井<9104>が7%の上昇。31日を基準日として1株につき3株の割合で株式分割を実施すると発表している。郵船<9101>や川崎船<9107>も上げが目立つ。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>や東エレク<8035>が堅調で、トヨタ自<7203>は小幅に上昇。また、「物言う株主」として知られる香港の投資ファンドが大量保有報告書を提出したマネックスG<8698>は東証1部上昇率トップとなっている。一方、レーザーテック<6920>やソニーG<6758>、三井物産<8031>はさえない。三井物産は英シェルがロシアの天然ガス事業「サハリン2」から撤退すると発表し、引き続きロシア事業の先行き懸念がくすぶっているようだ。また、前日まで急騰していたフジ<8278>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、海運業、鉱業、サービス業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、空運業、銀行業、ゴム製品など4業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の65%、対して値下がり銘柄は31%となっている。
前日のNYダウは世界経済の減速懸念から反落するも下げ渋り、米ハイテク株には金利低下を受けて買いが入った。本日の東京市場でもこうした流れから先行き懸念が和らいだとみられ、日経平均は大幅に3日続伸し、前場に27000円台を回復する場面があった。日足チャートを見ると、26400円台に位置する5日移動平均線を寄り付きから大きく上回り、値動き良化に期待した買いが入っていそうだ。一方、27000円あまりのところに位置する25日移動平均線近辺まで上昇し、目先の利益を確保する売りも出やすいか。前引けの日経平均が+1.47%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.93%。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円ほどとまずまず多い。
売買代金上位では株式分割の実施を発表した商船三井を中心に海運株の上昇が目立ち、上昇率上位には中小型グロース(成長)株が多くランクインしている。一方、金融株がやや軟調で、三井物産などロシア事業への懸念がくすぶる銘柄にも売りが続いている。
新興市場ではマザーズ指数が+5.81%と大幅に3日続伸。こちらは先んじて740pt台に位置する25日移動平均線を上回ってきた。前述のとおり中小型グロース株高の追い風が大きい。2月24日安値(648.20pt、取引時間中)から急ピッチのリバウンドを見せており、個人のセンチメントや資金余力の改善につながっているのだろう。振り返ってみると、東証1部でも海運株を中心に個人投資家に人気の銘柄が賑わっている印象を受ける。
さて、前日の米市場では原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI4月物)が1バレル=95.72ドル(+4.13ドル)と反発。商品市況の先高観から期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.62%
(+0.08pt)に上昇した。一方、世界経済の減速懸念とともに金融引き締めを織り込む動きが一段と後退し、金利は幅広い年限で低下。10年物国債利回りは1.82%(-0.14pt)となった。「対ロ制裁の影響は限定的」とか「停戦協議の進展に期待」といった声もあるが、これらの動きはウクライナ危機の長期化を見据えたものだろう。結果的に名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は低下し、特にこれまできつい調整を強いられてきた中小型グロース株の押し目買いの手掛かりとなっているようだ。
また、2月月間で日経平均は-1.76%(-475.16円)、TOPIXは-0.47%(-9.00pt)と2カ月連続で下落しており、株式相場全体としてリバランス(資産配分の再調整)目的の買い需要に期待する向きもある。
もっとも米金融政策を巡っては、アトランタ連銀のボスティック総裁が「持続的な高インフレが示されれば、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptの利上げを検討」する可能性を示唆している。ウクライナ危機の陰であまり注目されなかったが、2月25日に発表された1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+6.1%と大幅に伸び、商品市況の高止まりからもインフレ懸念は拭いづらいだろう。「金利低下+期待インフレ率上昇=グロース株買い」の構図が持続的なものかよく見極めたうえで取り組む必要があるだろう。
ウクライナ情勢についても、ロシア側が強硬な停戦条件を突き付けていると報じられていることに加え、米国防総省などの戦況分析でロシア軍に攻勢を緩める気配が感じられないのも懸念される。これまでの米政府の発表を見ると、米情報機関は侵攻開始前からロシア軍の動きをかなり正確につかんでいる印象を受ける。危機収束はなお見通しづらく、金融市場も不安定な状況が続くとみておいた方がよさそうだ。
(小林大純)
<AK>
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